時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

ラトビア外相、中国の経済枠組みから脱退

5段ほどの小さい記事ですが、目を引きました。バルト3国の一角であるラトビアが先日、中東欧など16か国と中国でつくる「16+1」から、隣国のエストニアと共に脱退をすることを表明しました。


「16+1」は、中国の「一帯一路」構想の欧州への足掛かりとして2012年に発足し、最も多い時には欧州17か国が参加しましたが、21年にラトビアの南隣のリトアニアが脱退し、台湾との関係を強化しました。脱退の背景としては、中国からの投資が欧州側の期待通りではなかったことがひとつ。

 

もうひとつは、ラトビアのリンケービッチ外相が話しているように、ロシアのウクライナ侵攻が脱退判断に影響しているようです。国連の常任理事国である中国がロシアを非難しないことを問題視し、「物事の見方が違うのは明らかだ」とも述べており、今後の対中関係は「民主主義や人権などの原則に基づく」ものになるとしています。


今回の脱退で、ラトビアなどが中国との関係をどの程度見直すかはよく分かりません。「16+1」からは脱退しつつも、個別では付き合っていくかもしれません。西側の経済枠組みの方を優先するとも言っていますが、どこの何とどの程度なのかも分かりません。
今朝の日経朝刊の1面にもある通り、民主主義国と権威主義国の分断がさらに進んでいます。

 

その中で、中国やロシアなど権威主義国の勢いが増し、民主主義国は押され気味という論調をよく見ますが、自分たちが民主主義国の一員だから言うわけではありませんが、民主主義国はそれほど焦る必要はないと思います。アメリカがイラクアフガニスタンにしたように、無理やり「民主主義を輸出」しようとするとロクなことがありません。今回のバルト3国のような動きはきっとこれからもあるので、じっくり構えるのが得策だと思います。

 

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アジア開発銀行、中国への支援終了検討へ 総裁が表明

アジア開発銀行(ADB)の浅川総裁は日本経済新聞のインタビューに答え、中国への新規融資を終える検討を2023年に始めることを明らかにしました。

 

ADBは1966年に発足し、本部はフィリピンの首都マニラにあります。日本とアメリカが15.7%ずつ出資しており、歴代の総裁は日本から出していて、浅川氏の2期前の総裁は、現日銀総裁の黒田さんでした。アジアの開発途上国に支援をするのがADBのミッションなのに、世界2位の経済大国になった中国に融資をしているの?と首をかしげる人もいるかと思います。


浅川総裁は「(中国が)ADBから卒業できる状況かどうか来年から議論したい」と述べていて、25年を最後に融資をやめるかどうか、23年から検討するようです。


ADBは融資の対象となる基準を主に3つ示しています。①1人当たり国民総所得(GNI)が7455ドル以下、②国際資本市場での資金調達が困難、③社会保障など開発水準を示す指標が一定以下といった国に絞っています。中国は、①GNIと②資金調達ですでに基準を外れており、③開発水準の指標が適合しているかを検証することになりそうです。


ADBから中国への融資残高は、196億ドルとインドに次ぐ2位で全体の14%を占める融資先である一方、日米に次ぐ3位の出資者でもあります。ADBの浅川総裁は「社会保障などの状況は上海と内陸部で違う。きっちり議論したい」と話しているものの、借りてもいるのに、貸しもしている。これは何だかおかしいです。借り手の立場も貸し手の立場も両方使いながら、国際機関での影響力を増すべく利用しているとも見えます。

 

アジアインフラ投資銀行(AIIB)も主導しており、もはや支援を受ける立場ではないとの見方があるのは当然です。中国が借り手でなくなれば、ADBはその分を低所得国の支援に注力しやすくなりますし、これはもう中国には「卒業」して頂きましょう。

 

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米共和チェイニー氏、予備選大敗 反トランプは苦境鮮明

11月の米中間選挙での西部ワイオミング州共和党候補を決める16日の予備選で、現職のリズ・チェイニー下院議員が大敗を喫しました。チェイニー氏は56歳。ブッシュ政権の副大統領としてイラク戦争を主導するなど絶大な影響力を持ち、「史上最強の副大統領」と言われたディック・チェイニー氏の長女。2016年に初当選し、19年には早くも下院指導部に入り、ナンバー3にのぼりつめた実力者です。


同氏はトランプ前大統領を真っ向から批判していましたが、トランプ氏が支持する「刺客」候補にあえなく敗れたのは意外でした。それも、2020年の予備選では7割を超える得票率で圧勝した実績がある「チェイニー王国」で、今回は得票率が30%にも届かず敗北。ライバル候補の弁護士ヘイグマン氏は、トランプ氏の支持を受け、得票率66%とチェイニー氏を大幅に上回り、共和党内の反トランプ派の苦境があらわになりました。


転機は、2021年1月に起きた議会占拠事件。チェイニー氏はトランプ氏の責任を負うためにライバルの民主党主導でまとめた弾劾決議に賛成しました。トランプ氏への批判を緩めないチェイニー氏は党内で孤立を深めていき、21年5月には指導部の要職から追われ、今年2月には共和党全国委員会からチェイニー氏らに対する非難決議を採択されてしまいました。


今回の選挙結果により、議会占拠事件の弾劾決議に賛成した共和党議員はチェイニー氏を含めて10人いましたが、11月の本戦にすすめたのはわずか2人とは驚きです。チェイニー氏を含めた4人は敗北、残りの4人はトランプ氏の支持なしには勝算が乏しいとの判断からか出馬を見送りました。


だからといって、トランプ氏の支持を受けて過激な主張をしたら、本戦で民主党候補に勝てるとは限りません。トランプ氏がスキャンダルなどで政治的影響力を失った場合、共倒れになる可能性もあります。


秋の中間選挙は、与党民主党の苦戦が予想されていますが、共和党も万全ではありません。良くも悪くも「トランプ氏次第」といえます。バイデン大統領からすると、わずかに逆風が弱まったかな…と感じているかもしれません。

 

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「いつも通りやなあ」 大阪桐蔭、王者の強さ詰まった好走塁

昨日、今夏初めて甲子園に行き、大会第11日、3回戦の第4試合、大阪桐蔭vs二松学舎大付の試合を観戦してきました。


史上初の3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭高校は、初戦の旭川大高戦は苦戦しましたが6-3で勝利。2回戦の聖望学園戦は19-0と大勝し、昨日の3回戦でした。結果は、序盤に効率よくあげた4点を、エースの川原投手が粘りのピッチングで0点に抑え、見事完封勝利。順当にベスト8進出を果たしました。


初戦こそ苦労したものの、持ち前の打力でひっくり返し、2戦目は25安打の猛打を披露。投手陣も安定感が際立ち、どのチームよりも余力を残して準々決勝に勝ち上がった感があります。そんな大阪桐蔭高校を「大阪桐蔭、強すぎ問題」なる記事も目にするようになりました。まあこの類の記事は、何年かに1回、強いチームが出てきたら揚がるアドバルーンみたいなものですが、大阪桐蔭はどこのチームよりも、しっかり野球をやっている、そんな印象です。

 

そのひとつが、この記事なる「一打二進」。代表的なシーンが3―0とリードして迎えた四回にありました。1死から1番の伊藤選手が直球をはじき返しました。打球は転々と左中間に転がり、レフトが捕球動作に入るやいなや、伊藤選手は一塁ベースを猛然と駆け抜け、すかさず二塁を狙いました。深く守っていたとはいえ、決してセンターとレフトの間を抜けたわけではありません。相手は伊藤の走塁を見て焦りもあり、打球をはじいてしまう。伊藤選手はそれを確認すると、ヘッドスライディングで一気に三塁を陥れました。


「『一打二進』が常に頭にあり、練習の中で繰り返している。三塁進塁は結果的にそうなっただけ」と伊藤選手は言います。ひとつのヒットで、二つ先の塁を狙う。この進塁を成功させたのは、普段から、隙があって進塁できなければチームメイトから厳しい指摘が飛ぶ、練習環境からくる高い走塁意識のたまものです。


こういった、走塁の意識は随所で見られました。普通のフライを打ち上げても、野手がキャッチした時には、もう二塁ベースを駆け抜けているというシーンが何度も見られます。


「日ごろから徹底していることなんで、いつも通り」だそうです。

 

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プロ野球、コロナの時代の球団経営 球場の有無で明暗

新型コロナウイルスによる入場規制が3年ぶりに撤廃された今季、観客動員は史上最高を記録した2019年の8割近い水準まで回復してきましたが、2年間のコロナ禍は球団経営にどれほどの打撃をもたらしたのか。各球団の決算公告を参考に、振り返った記事を取り上げます。


巨額のテレビ放映権などで稼ぐ欧米のプロスポーツに比べ、プロ野球の収入はチケットや球場での飲食、物販など球場周りでの売り上げが中心になっています。無観客試合や入場規制をもたらしたコロナはその根幹を直撃。ただ、そのダメージは球団の運営形態によって差があるのが、なかなか興味深いです。


自社で球場を保有するソフトバンクは19年シーズンに球界で最大の324億円の売り上げがありましたが、過去2年は230億円前後に減少。5億円程度の黒字で推移していた最終損益は80億円近い赤字に転じ、過去の利益の蓄積も吹き飛びました。


対照的なのが神宮や札幌ドームを〝間借り〟しているヤクルトや日本ハムです。球場での飲食代や広告費などが入らず経営規模は小さいが、〝持ち家〟がない分、傷も浅かった。球団と球場の一体運営はプロ野球ビジネスを成功させるカギとされてきました。近年、多くの球団は球場を自前化したり、指定管理者になったりして、球場周りでの収益強化を図ってきましたが、コロナ下ではそんな球団ほどダメージを被ることになったのは皮肉な話です。


プロ野球球団だけでなく、一般企業も「持たざる経営」はやっぱり不況には強いです。これはひとつのセオリーとしてはあると思います。企業だけでなく個人もそうかもしれません。将来がなかなか見通しにくいのに、30年を超えるローンを組んで持ち家を買うのが果たして合理的なのかどうか。考えどころだと思います。


プロ野球球団ですが、ヤクルトは神宮球場大学野球と一緒に使っています。自前の球場を持ちたいと思わないのかなあと思いますが、不況に強いところをみるとこれが解のひとつだと思えます。一方、日本ハムは来年から自前の新球場に移転します。これもまたひとつのチャレンジです。短期的に見るだけでなく、長期的な視点も球団経営には必要になってきそうです。 

 

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大学入試、偏差値時代終幕の足音 推薦・総合型が過半に

受験地獄といわれた入試環境が18歳人口の減少で激変し、偏差値で大学が序列化される時代が終わろうとしています。


年明けの一般入試を待たずに、年内入試で合格を決める、「推薦・総合型」が受験生の半分を占めるようになってきました。推薦型とは、大学の付属・系列校や指定校推薦を指し、付属校の新設や系列校化も年々進み、囲い込みを進めています。以前はAO入試でしたが、昨年から呼び方が変わった総合型とは、面接や小論文、プレゼン、検定試験の結果などで選考するもので、推薦型による入学者も合わせると、2000年度は全体の33.1%だったのが、2021年度は50.3%と初めて半数を超えました。私立に限ると、20ポイント増の約6割に達します。


受験生も一発勝負の一般入試より、早めに合格できる年内入試を選ぶのは当然の流れです。一般入試で複数校を受けるより推薦1校で決まれば、受験費用も安く済みます。1点刻みの選抜が権威を持つ時代の終わりを歓迎すべきだという意見が記事にありますが、私も同じ考えです。予備校などに相当額のお金を払って、時間も心もすり減らす一般入試を受ける子がひとりでも減ったらいいと思っています。


総合型の受験生が増えると丁寧な選考ができなくなり、学力不足の学生が増えたという課題も書かれていますが、それは入学後に大学が簡単に単位を与えないようにすればいいだけだと思います。あとは、一般入試よりも緩くふるいにかけて入学してきた学生をどう育てるかが大学は問われます。入学者をたくさん欲しいからと、学力不足の生徒もたくさん取り、入学してからたいした指導もせずほったらかしでは困ります。入学後の指導が重要になってきます。

 

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行政DX 加速へ再起動 内閣改造、デジタル相に河野太郎氏

岸田首相は10日の内閣改造でデジタル相に河野太郎氏を起用しました。経済安全保障相には高市早苗氏が就き、2021年9月の自民党総裁選を首相と争った両氏が力を注いできた分野の閣僚に据えた人事は、次の総裁選出馬に向け、切磋琢磨してほしいふたりです。


特に、河野太郎氏は昨年の自民党総裁選で、第1回目の投票では岸田氏に1票差の2位に。惜しくも決選投票では敗れましたが、岸田首相の次の候補の一番手と言っていい存在です。


そこで、ぜひ今回のデジタル相で実績を作ってアピールしたいところです。一番の課題は「行政のデジタル化」です。政府と自治体のシステム基盤となる「ガバメントクラウド」整備、行政デジタル化を阻むアナログ規制の見直しなどが一斉に具体化の段階に入ります。税や住民基本台帳など主要20業務を対象に、仕事の進め方や仕様を統一し、バラバラだった行政システムを政府のクラウドに移行するという一大事業です。2025年度までの移行でシステム費用を3割削減する目標を掲げるが、思うように進んでいないようです。


小規模自治体からは「かえってコストが増える」との懸念も漏れています。国と自治体のコストの負担割合など、財源も絡む議論は23年にかけて本格化が見込まれ、自治体や財務省との難しい交渉の指揮を河野氏が担います。河野氏の実力が試される絶好の機会です。


マイナンバーの利用促進なども含めて、デジタル関連の改革は、私たち国民の目が届きやすい分野です。うまくいかなければそれまでですが、うまくいけば「河野首相待望論」が世論から出てくる。そうなると、国会議員先生たちも「いっちょやらせてみるか」となる。


できることを、手当たり次第にやってほしいと思います!

 

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改造内閣は改革の具体化と実行を急げ

第2次岸田改造内閣が10日に始動しました。経験や専門性を重視した手堅い布陣といえると社説にはあります。個人的には、わりといい印象を持っています。


相変わらず若い人は少ないし、女性もふたりしかいない。先日「入閣待機組」について触れましたが、100歩譲って年功序列でも致し方なしとするなら、留任はなしにして全員を初入閣にすれば新陳代謝が進みますが、入閣待機組は8人のみ。主要閣僚は留任が多いし、3度目の登板という人もいます。


「今は緊急時、国難時だから致し方なし」というと、「それなら国難でない、ゆるりとした時期なんていつあるの?」と言いたい。いつもそれなりに課題は多く、大変な時期なんだから、時期を言っていたら変化のしようがないので、思い立った時期に若手をドンと登用するとか、女性閣僚を10人くらいにするとか、やればいいんです。


とはいえ。さすがに今の時期。コロナや物価高、さらには台湾有事を考えると、あまり冒険はできないなという気持ちもよく分かります。第4派閥の長である岸田首相としては、全派閥に配慮して余計な軋轢を生むリスクを軽減したいのも当然でしょう。


コロナ対応については、経験豊富な加藤勝信氏が厚生労働相に。対中強硬派の高市早苗氏の経済安全保障相も重しが効きそうですし、台湾有事のシュミレーションに積極的に関わっていた浜田靖一氏の防衛大臣もいいと思います。さらに、デジタル相も河野太郎氏が適任です。どんどん進めてもらいたいです。


防衛力の抜本的な強化が、年末に向けた最重要課題のひとつと岸田首相は言われているので、まずはここで成果を見せて欲しいです。

 

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ワークマン、ブロガーら100人起用 PBの50%を共同開発

ワークマンがプライベートブランド(PB)の強化に、同社の商品を愛用するユーチューバーやブロガーを起用していますが、さらに力を入れていくようです。

 

現在、PBに占めるアンバサダー商品の比率は品目ベースで3分の1。これを25年3月期までに50%に増やし、アンバサダーの数も現在の約50人から100人に倍増させるとのことです。


ワークマンのアンバサダー戦略には、3つの原則があるようです。1つは「不満ほどありがたい」。「ワークマンで買ってはいけない商品」といった動画を投稿しているアンバサダーもいるくらいですから、同社の本気度を感じます。2つ目は「金銭関係はなし」。報酬をもらう仕組みだとアンバサダーは「広告塔」の責務を負って中立性が薄まります。報酬がなくてもやってくれる、本当に熱意のある人が来てくれるという考え方です。3つ目は「コミュニティの熱量重視」。その分野にこだわりを持つフォロワーが多いほど、購入してくれる確率が高まります。


ひとつおもしろいなと思ったのは、PBの品目の50%をアンバサダー開発にしているということ。ということは、残りの半分はワークマンの商品開発が手掛けるということです。自社の商品開発で生まれたPB商品の方が売れ行きがイマイチなら、ちょっと辛いです。アンバサダー商品と競争させ、自社開発の力をつける効果も期待しているのではと思いました。

 

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「入閣待機組」80人 どう処遇 明日内閣改造

岸田首相が10日に断行する内閣改造自民党内には「入閣待機組」といわれる議員が80人ほどいます。入閣待機組は衆院当選5回以上、参院当選3回以上で閣僚経験がない議員を指すことが多いようで、日本経済新聞社の調べによると衆院で50人ほど、参院でおよそ30人の国会議員があてはまります。


さらには、各派閥にも配慮をするのが通例で、内閣改造では各派閥が入閣を要望する議員リストを首相側に提出します。実現の可否は派閥の長や派閥自体にとっても求心力の維持に直結するので力も入ります。


「隗より始めよ」ではないですが、政治家はその国を代表するリーダーなので、私たち国民の模範になってほしいんですが、実情は全く逆です。世の中では、年功序列は崩れつつあり、若くて能力のある人がどんどん登用されています。出番を待っている人、待機組がいる企業や団体は優秀な人に見向きもされなくなります。それに「派閥」って、これまた昭和の遺物の象徴みたいで、何だか懐かしくもあります。


成毛眞さんが「政治や行政が変わるのは一番最後。変わることを期待したり待っていてはいけない」というようなことを書いておられましたが、大変納得しました。昔を後世に伝えていく、歴史博物館みたいな雰囲気が内閣改造に感じます。

 

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品質不正を止めるのは経営の責任だ

製造業で品質を巡る不正が後を絶ちません。排ガスの試験データを改ざんするなどした日野自動車、樹脂の認証試験を欺いた東レ、そして広範な事業に不正が及ぶ三菱自動車など、どの会社も日本を代表する大会社ばかりです。


これらの事例には共通点があると社説にはあります。ひとつは「閉鎖的な組織風土による仲間意識」。もうひとつは製品の品質に問題がないから法律などで定められた手順を軽視する「現場のおごり」。さらには、悪いことをしているという「自覚がない」ということもあります。


一番胸が痛むのは、「現場が声をあげられない企業風土にある」ということです。三菱電機では「言ったもん負け」の企業文化が指摘され、東レでも内部通報制度が形骸化していました。日野自動車の報告書がインパクトが強く、上意下達の気風が強すぎる組織・パワハラ体質を報告書で断罪されており、開発が遅れると「お立ち台」に立たされつるし上げられるという赤裸々な報告もありました。


製造業の品質を巡る不正は今に始まったことではなく、ずっと続いている問題です。こういう問題が起こると経営トップは口々に風土改革を口にしてきましたが、なかなかなくなりません。現場を不正に走らせない企業風土をどうつくるか、どうやって経営者が主体的に関わっていくのか。こういった取り組みは、業績アップに直接つながるわけではないし、性悪説の考え方になるし、細かいことを言い過ぎると下からは嫌がられるし、あんまり経営者が進んでやりたがらないことです。だから、いつまでたってもなくならないのでしょう。いっそのこと、AI経営者の方がそういった感情を抜きに業務にあたってくれるのでいいかもしれません。

 

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ペロシ米下院議長と台湾有事 日本、乏しい自衛の意識

中国人民解放軍が台湾周辺の6カ所の空・海域で実施する軍事演習が4日始まりました。

 

期間は7日まで4日間。演習エリアは沖縄県与那国島波照間島からわずか60キロメートルの距離に設定され、中国軍が発射した弾道ミサイルは日本の排他的経済水域EEZ)に落下したとのことです。


ペロシ米下院議長の台湾訪問と蔡英文総統との会談は台湾有事が日本有事であることを改めて認識させました。


岸田首相は5日の今日、ペロシ氏と面会する予定です。ここでどんな内容の話をするのか? さらにはそれをどう中国に向けてオープンにするか? 台湾訪問の話題を避けるのは不自然だが、どう触れるかは簡単ではないと記事にはあります。確かにその通りです。中国を刺激し過ぎることも得策ではありません。しかし、逃げの姿勢や弱腰な態度は見せたくない。日本のEEZにミサイルを撃ち込まれたわけですから少なくとも抗議はするでしょう。それをどの程度のトーンで言うのか。


ペロシさんが日本の前に韓国を訪問しましたが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は何とペロシ氏と面会せず、電話での会話にとどめたとのことです。アメリカ大統領継承順位2位の要人が訪韓したのに直接会わないとは驚きました。大統領府の広報首席秘書官は4日の記者会見で「休暇の日程が重なり面会が難しいと米国側に説明し、理解を得た」と説明しました。尹氏は休暇中だがソウルにとどまって、3日には夫人と演劇を見にソウル市内の劇場に足を運んだと。韓国政界では中国の反発を意識し、ペロシ氏との会談を避けたとの見方が広がっています。いい悪いは別にして、これが韓国のスタンスなんだと思います。中国を無駄に刺激しない。これはこれで理解はできます。


日本の置かれている立場は、韓国とは全く違います。岸田政権は難しい舵取りを迫られます。

 

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挑発いなせぬ「脆き大国」 中国、ペロシ氏台湾訪問に猛反発

月曜日の時事マラソンで、ペロシ米下院議長の訪台に触れ、「行くも行かないも悩みどころ」と書きましたが、結局は「行く」を選びました。結果論ではありますが、後から考えると「まあ行くだろうな」という感じです。


ペロシ氏は82歳。対中政策では強硬派で知られ、かねてからウイグルなどでの中国政府による人権弾圧を批判してきました。野党・共和党上院議員26人が、ペロシ氏の訪台を支持する共同声明も発表。中間選挙を前にして、ライバルのお墨付きも貰っていました。


バイデン大統領が軽く難色を示しましたが、ここがアメリカの三権分立の特徴で、大統領と議会はあくまで独立。大統領の意見より、議会全体のコンセンサスの方が優先。対中問題は、厳しい態度で臨むことで両党とも一致しています。秋の中間選挙では、与党・民主党過半数割れが予想されています。民主党ペロシ氏が下院議長として訪台するのは今回がラストチャンス。共和党としても花を持たせたのかもしれません。


対する中国。アメリカは「下院議長の訪台は初めてではない」と言っていますが、1997年のギングリッチ氏は共和党の下院議長でした。当時の政権はクリントン民主党政権でしたので、ある意味野党の下院議長でしたが、今回のペロシ氏は与党の下院議長。1997年より、一歩踏み込んだ訪台だというのが中国の意見です。


しかも、日帰りならまだしも、1泊しました。たった1泊のことですが、これも中国としては非常に面白くない。さっそく大規模な軍事演習で即座に対抗姿勢を見せましたが、この程度で終わるのか。秋の共産党大会で3期目を目指す習主席ですが、8月は党長老らが大詰めの調整をする「北戴河会議」の重要な時期でもあります。


今後の中国の動きにますます目が離せなくなりました。

 

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追悼演説の奥深さ

国会の「追悼演説」には名演説が多い。一人の政治家の生涯を歴史に刻もうと、党派を超えて選ばれた演説者が真摯(しんし)に言葉を練り上げるからだろう。生い立ちから政治を志すきっかけを丹念にひもとき、取り組んだ政策や知られざる交友関係などを語り尽くす。やじが飛び交う衆参の本会議場がこの時ばかりは厳粛さに包まれ、政治の奥深さを感じさせてくれる。と、あります。


神戸新聞だけに、兵庫ゆかりの2つの演説、さらには、首相在任中に倒れ、沖縄サミット前に亡くなった小渕元首相に向けた、村山元首相の演説も紹介されています。


名追悼演説は、党派を超えているところがいいのでしょう。普段は、喧々諤々、時には汚い言葉も交えながらやりあいますが、元をただせば政治家同士。思いは違えど、国のために力を尽くしたいという根の部分は同じだから、いろいろ滲み出てくる言葉があるのでしょう。たくさんの候補の中から選ばれし人という名誉なことでもあるので、死を悼む場でありつつも、追悼演説する当人としては晴れ舞台でもあります。


安倍元首相の追悼演説の演説者に、甘利前幹事長の名前が挙がっていましたが、秋に先送りになりました。記事にもある通り、気心知れたお友だちの思い出話より、激しい論戦を繰り広げた好敵手が挑む最後の真剣勝負に、私も期待したいです。「私の弔辞を安倍先生に話して頂くつもりでした。無念です。」と話した、麻生さんの弔辞もよかったですが、追悼演説の演説者はぜひ自民党以外の人にしてもらいたい。私は、野田佳彦元首相が適任だと思います。

 

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アップル「酔わない車」で異世界へ

アップルが自動車に関心があるのは周知の事実ですが、何と「酔わない車」の開発を進めているとか。この見出しを見て驚きました。


これから自動運転が当たり前になって来れば、窓から景色を眺めたり、ラジオや音楽を聴いていた車内での時間の過ごし方が大きく変わります。アップルが想像するのは、仮想世界に身をおくこと。娯楽や教育のコンテンツだけにとどまらず、アバターを通じたバーチャル会議への出席など、移動時間に仕事をこなせるようになります。そういった没入型のVRシステムは注目技術のひとつですが、導入時にネックになるのが「車酔い」です。

 

アップルは、自ら自動車を造るとは明言していませんが、特許を着々と蓄積していて、2017年に出願された「モーションコントロール・シートシステム」などは、路面状況に応じて車の衝撃を緩和し、振動などを抑えて車酔い緩和に繋げたいようです。サスペンションの特許などでも車酔い対策に言及しているようで、アップルの「酔わない車」への思いは本気のようです。移動中の車内で読書やスクリーンデバイスでの作業、映画鑑賞ができたら、ガラッと車の概念が大きく変わります。

 

アナリストによると、早ければ2025年。実際は2027年頃がターゲットイヤーではないかとのことです。アップルの主力商品は、スマホから自動車に移っているかもしれません。

 

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