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アジア開発銀行、中国への支援終了検討へ 総裁が表明

アジア開発銀行(ADB)の浅川総裁は日本経済新聞のインタビューに答え、中国への新規融資を終える検討を2023年に始めることを明らかにしました。

 

ADBは1966年に発足し、本部はフィリピンの首都マニラにあります。日本とアメリカが15.7%ずつ出資しており、歴代の総裁は日本から出していて、浅川氏の2期前の総裁は、現日銀総裁の黒田さんでした。アジアの開発途上国に支援をするのがADBのミッションなのに、世界2位の経済大国になった中国に融資をしているの?と首をかしげる人もいるかと思います。


浅川総裁は「(中国が)ADBから卒業できる状況かどうか来年から議論したい」と述べていて、25年を最後に融資をやめるかどうか、23年から検討するようです。


ADBは融資の対象となる基準を主に3つ示しています。①1人当たり国民総所得(GNI)が7455ドル以下、②国際資本市場での資金調達が困難、③社会保障など開発水準を示す指標が一定以下といった国に絞っています。中国は、①GNIと②資金調達ですでに基準を外れており、③開発水準の指標が適合しているかを検証することになりそうです。


ADBから中国への融資残高は、196億ドルとインドに次ぐ2位で全体の14%を占める融資先である一方、日米に次ぐ3位の出資者でもあります。ADBの浅川総裁は「社会保障などの状況は上海と内陸部で違う。きっちり議論したい」と話しているものの、借りてもいるのに、貸しもしている。これは何だかおかしいです。借り手の立場も貸し手の立場も両方使いながら、国際機関での影響力を増すべく利用しているとも見えます。

 

アジアインフラ投資銀行(AIIB)も主導しており、もはや支援を受ける立場ではないとの見方があるのは当然です。中国が借り手でなくなれば、ADBはその分を低所得国の支援に注力しやすくなりますし、これはもう中国には「卒業」して頂きましょう。

 

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