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品質不正を止めるのは経営の責任だ

製造業で品質を巡る不正が後を絶ちません。排ガスの試験データを改ざんするなどした日野自動車、樹脂の認証試験を欺いた東レ、そして広範な事業に不正が及ぶ三菱自動車など、どの会社も日本を代表する大会社ばかりです。


これらの事例には共通点があると社説にはあります。ひとつは「閉鎖的な組織風土による仲間意識」。もうひとつは製品の品質に問題がないから法律などで定められた手順を軽視する「現場のおごり」。さらには、悪いことをしているという「自覚がない」ということもあります。


一番胸が痛むのは、「現場が声をあげられない企業風土にある」ということです。三菱電機では「言ったもん負け」の企業文化が指摘され、東レでも内部通報制度が形骸化していました。日野自動車の報告書がインパクトが強く、上意下達の気風が強すぎる組織・パワハラ体質を報告書で断罪されており、開発が遅れると「お立ち台」に立たされつるし上げられるという赤裸々な報告もありました。


製造業の品質を巡る不正は今に始まったことではなく、ずっと続いている問題です。こういう問題が起こると経営トップは口々に風土改革を口にしてきましたが、なかなかなくなりません。現場を不正に走らせない企業風土をどうつくるか、どうやって経営者が主体的に関わっていくのか。こういった取り組みは、業績アップに直接つながるわけではないし、性悪説の考え方になるし、細かいことを言い過ぎると下からは嫌がられるし、あんまり経営者が進んでやりたがらないことです。だから、いつまでたってもなくならないのでしょう。いっそのこと、AI経営者の方がそういった感情を抜きに業務にあたってくれるのでいいかもしれません。

 

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