時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

アルゼンチン、36年ぶり2度目の優勝、フランス、連覇ならず

本当にいろんなことがあった、サッカーW杯カタール大会。最後の最後に、極上の試合を見せてくれました。90分戦って2-2、延長戦も1点ずつ取り合っての3-3。「もう両方とも甲乙つけがたいので、悪いけどPKで決めてね」とサッカーの神様に言われている気分でした。


様々な見どころがあったこのファイナルですが、個人的に一番感動したのは、メッシとエムバペの両エースが、ひとり目に出てきてしっかりPKを決めたことです。メッシは2ゴール、エムバペはハットトリックの3ゴール。ふたりとも歩いている時間も相対的に長く、運動量が少ないと言われますが、120分間プレーをし、決めるところはきっちり決めて、臨んだPK戦。アベマの解説の本田圭佑の言葉を借りるまでもなく、これまでのW杯で大事なところでエースがPKを外すシーンを幾度も見てきました。ここでどちらかでも外したら、悲劇のヒーローがこの試合の主役となって、語り継がれてしまいます。それもサッカーなので致し方ないのですが、これをふたりともしっかりネットに沈めてくれた。それも、エムバペはパワーで、そしてメッシは技術で、それぞれ「らしい」キックが本当に見事でした。


アルゼンチンもフランスも、それぞれ、メッシのチームであり、エムバペのチームです。8ゴールとハイレベルの得点王に輝いたエムバペはまだ23歳。前回のロシア大会と合わせて通算12ゴール。4年後にどこまで伸ばしてくれるか今から楽しみです。


そして、悲願のW杯とトロフィーを掲げたメッシは、ようやくマラドーナに並ぶ存在になりました。クラブチームでの実績はもちろん、W杯での記録、そして今大会のパフォーマンスからすると、マラドーナを超えたといってもいいかもしれません。


2022年カタール大会は、メッシの大会となりました。

 

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山下審判員「精一杯やった」女性初のW杯

サッカーW杯カタール大会で史上初の女性審判員に名を連ねた山下良美審判員の挑戦が終わりました。選手交代の手続きなどに当たる「第4の審判員」として6試合を担当した大会を振り返り「やるべきことを精いっぱいやった。これだけ人の心を動かせるサッカーに、より魅了された」と充実した表情で話されました。


ご自身に主審の機会がなかったのは残念でした。フランスのフラパル審判員がW杯で初めて女性で主審を務めました。女性審判員を選んだからには、どこかで必ず主審に起用すると思っていて、それが日本の山下さんになればいいなと願っていましたが、サッカー先進国・フランスの審判員が歴史に名を刻んだのは、山下さんの審判としての技量ではなく、日本サッカー全体のサッカー界での立ち位置を表したものでしょう。ご本人に悔しさはなく「心からうれしかったし、可能性が広がったのを目の当たりにした。継続できるように私自身も頑張っていきたい」と話しており、4年後の次回大会ではぜひ笛を吹いてほしいと思います。日本代表も山下さんも今大会で大きなインパクトを残しましたから、ここから4年間が勝負です。 

 

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公明、中国「脅威」認識に難色 防衛3文書改定で

国家安全保障戦略など防衛3文書の改定作業で公明党が慎重論を唱える場面が目立ちました。

 

自民党は4月の3文書への提言で中国を「安全保障上の重大な脅威」としており、日本政府が使ってきた「懸念」よりも強い表現を使っていました。それに対し公明党の山口代表は「あえて『脅威』と呼ぶのは望ましくない」と訴え、最終的に国家安保戦略で国際秩序への「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と盛り込むことになり、後退した格好になりました。


公明党は結党以来たびたび訪中団を送り、中国との関係を重視してきました。日中国交正常化で橋渡し役を果たしたことでも知られています。山口氏は近く3年ぶりとなる訪中を探っており、機運を保つために「脅威」という文言の明記を避けたとの見方があると記事にはありますが、それが理由とすれば少し首をかしげてしまいます。


他にも、海上保安庁の役割に、軍隊としての機能も増強したい自民党に対し、「海保は軍事組織ではなく、自衛隊とは区別すべき」とし、「海保は自衛隊との連携・協力を強化する」に留まりました。防衛装備品の輸出も慎重な姿勢を崩しておらず、自民党との温度差がかなり目立っています。


これは自民党公明党との間だけの温度差ではありません。米国はオースティン国防長官が公の場で中国を「脅威」と発言しており日米の目線がそろっているとは言い難いです。公明党の存在が日米同盟の不安定要素となりかねないと、結構強い表現が記事にもあります。


基から分かっていたことですが、自民党公明党の対中国や防衛についての考え方の隔たりはありました。自民党としては連立を組む公明党に対して、フラストレーションが溜まっていることは容易に想像できます。維新は岸田首相の間はあまり協力はしなさそうですが、ここにきて少しずつ国民民主党が存在感を発揮しだしました。


公明党としても、連立与党としては難しい立場です。防衛力の強化自体は賛成の立場で自民党との協議に臨んでおり、反撃能力の保有でも厳格な歯止めは求めませんでした。しかし、譲れないところは譲れない。各党間の様子をしばらく見守りたいと思います。

 

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ウクライナの越冬支援、580億円超で合意も独首脳らは会議欠席

ロシアのウクライナ侵攻を巡り、欧州各国の足並みの乱れが目立ってきました。フランスは13日、ウクライナの越冬を支援する国際会議をパリで開き、発電機の供給拡大など4億ユーロ(約580億円)を超える支援実施で合意しましたが、ドイツのショルツ首相など主要国首脳は参加を見送りました。


仏外務省によると、会議には日本や米国を含む約50カ国と20を超す国際機関が参加。ウクライナからシュミハリ首相や、ゼレンスキー氏のオレナ夫人も加わり、会議では発電機やインフラ資材のなどの支援ニーズに素早く対応するため、国際的な枠組みを設けることでも一致したものの、ドイツのショルツ首相、イタリアのメローニ首相、英国のスナク首相といった主要7カ国(G7)のほかの欧州首脳は軒並み欠席、閣僚すら派遣しない国もあったようです。


背景にはフランスへの不信感があると記事にはあります。元々は、フランスが侵攻直前までロシアの意図を読み違え、外交面での指導力を発揮できなかったというジョンソン元英首相らの指摘があります。ウクライナへの国別の援助総額で、フランスは6位の約14億ユーロに留まり、トップのアメリカの30分の1、ドイツの3分の1にも届きません。この内、フランスの軍事支援は約4.7億ユーロで、アメリカの48分の1、ドイツの5分の1に過ぎません。欧州には「フランスは口だけで実行しない」との不満がくすぶっています。


ロシアとの停戦を探る動きを見せるなど、マクロン氏の独自外交の評判もよろしくありません。こういったマクロン氏のスタンドプレーは、対ウクライナの結束は鈍るし、ロシアは利するし、いいことがひとつもありません。

 

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中国の「ゼロコロナ」事実上崩壊

新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策が、12日までに事実上崩壊しました。流行が急拡大している北京で当局発表の感染者数が減少傾向となっており、政府は実態把握を放棄したもようです。行動制限の専用アプリも13日に廃止。政府は「自己責任」で対策を取るよう呼びかけるなど、一気に緩和を通り越して、解除に踏み切ったのは驚きです。


徹底した検査と隔離、封鎖で14億人を縛り付ける方法は限界に達しました。そうせざるをえなかった理由のひとつは、国民の不満の高まりです。国民の我慢は限界を超え、各地で抗議デモが広がりました。


もうひとつは、経済への打撃。7~9月期のGDP成長率は前年同期比3.9%とふるわず、年間目標5.5%の達成は難しく、こちらは習指導部の限界を超えたということでしょう。
「破綻」や「失敗」など強い言葉が記事に目立ちますが、個人的には大規模なロックダウンはひとつのとりえる方法ですし、中国以外でもやってきました。ある程度感染拡大を抑え込めていたようにも見えたので、これまでの3年間が全くの失敗だったとは正直思えません。


ただ、問題はこれからです。行動制限を緩和し、約3年間抑圧されてきた人々が動き出します。来年1月の旧正月の大型連休では、規制や旅行による大移動も予想されます。コロナウィルスは変異していってはいますが、基本的には感染力の強い伝染病です。中国の医療体制は脆弱で、有効性の高いワクチンを接種できていません。


北京では政府が11月に対策を緩和した途端に高熱や咳などの症状を訴える人が急増し、「従業員100人のうち出社しているのは半分以下」というある会社の幹部のコメントもある通り、北京でこれですから地方はどうなるんだろうと心配になります。


中国のゼロコロナ政策。終わりの始まりです。どう考えても悪い予感しかしません。

 

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防衛省、世論誘導研究に着手

防衛省人工知能技術を使い、SNSで国内世論を誘導する工作の研究に着手したことが9日、複数の政府関係者への取材で分かりました。インターネットで影響力があるインフルエンサーが、無意識のうちに同省に有利な情報を発信するように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、有事で特定国への敵対心を醸成、国民の反戦厭戦の機運を払拭したりするネット空間でのトレンドづくりを目標としているとのことです。


複数の政府関係者によると、具体的にはまず、AIを駆使して全体計画を策定し、防衛問題で影響力がありそうなインフルエンサーが頻繁に閲覧するSNSやサイトに防衛省側の情報を流し、インフルエンサーが無意識に有利な情報を出すよう仕向け、防衛省が世論操作できるかを研究するそうです。


書いていて、超絶に気分が悪くなってきました。防衛省は本気でこんなことを考えているのでしょうか? 第二次世界大戦時に、新聞やラジオを使って、マイナスな情報を隠し、煽るだけ煽っていたことを反省するのではなく、まさか「成功体験」と考えているんでしょうか。


2022年度予算の将来の装備品を検討する調査研究費に充て、米軍の情報戦活動にも携わり、世界展開をしているコンサルタント会社の日本法人への調査の依頼も決定しているようです。増税をし、増えた防衛費はこんなことに使われるのでしょうか?週明けから、ますます気分が悪くなってきました。

 

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上皇さま、戦禍の真相、問い繰り返す

上皇さまが在位時代の2013年2月から16年6月までに計6回、昨年亡くなった作家の半藤一利さんやノンフィクション作家の保阪正康さんらを御所に招いて懇談されていたことが分かりました。


ネット記事は少量なので、機会があれば本紙を読んでもらい、詳細は今日発売の「文芸春秋」新年号に掲載されているようです。懇談の内容は、満州事変など戦禍の真相について質問を繰り返していたようで、戦争犠牲者を悼み、慰霊に尽力された上皇さまがどのような思いで平成時代に「象徴の務め」を果たされた背景が少し理解できます。


たとえば半藤さんらが満州事変について話題になった時に上皇さまが「関東軍が仕掛けた謀略という理解でよろしいのですね」と念を押したとありますが、ちょっとドキッとしました。あと「日本にはどうして民主主義が根付かなかったのでしょうね」と質問され、半藤さんや保阪さんが一瞬たじろいだともあります。民主主義が根付いていれば、軍の暴走も起こらず、開戦にはならなかったのでは?と言いたいのでしょうか。


一連の懇談を通じて保阪さんは「上皇さまが心の叫びに近いものを持ち続けていると感じる」と書かれています。そしてその叫びを「天皇の名において何百万人もの人が戦争で死んだんですよ。先帝と私は違う人間とは言え、今の天皇は私です。私はどうすればいいんですか」と考え続け、心の葛藤を背負いながら戦後を生き、天皇として上皇后さまと追悼と慰霊の旅を繰り返してきたとのだと推測されています。


太平洋戦争の開戦から昨日で81年というタイミングもありますが、日本の防衛について動き出した今、いろいろと考えさせてくれるニュースでした。

 

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救済法案、会期内成立へ 立民・維新が賛成方針

統一教会問題を巡る被害者救済法案は10日までの国会会期中に成立する見込みになりました。宗教団体などの法人が寄付を勧誘する際に「個人の自由な意思を抑圧しない」といった3つの「配慮義務」規定を自民党は定めましたが、立民は配慮義務の規定を順守させるため「十分」に配慮と表現を強めるように追加の修正を求め、自民党側もこれを受け入れ、立民も賛成する方針方向です。


与野党協議は、何か久しぶりなような気がします。私たちが見えていないところで、もちろんこういう協議はやっているのでしょうが、国民としてはお互いが歩み寄らないために、全く進まない、あるいは片方が暴走する、ということはあまり見たくない光景です。立民など野党としては、与党の賛成ばかりしていると確かに存在価値はあるの?となってしまいますが、野党の議員が「野党は与党と対立することに価値がある」と思っているとしたら、それは国民の役にはあまり立たない考え方だと思います。


今回のように、お互いが歩み寄って、妥協点を見出すようなシーンをもっといたいと思います。今回の与野党前向きなやりとりを見ていて、野田元首相の追悼演説が多少影響したのではないかとも思ったりもしました。

 

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BASFと全農、スマート稲作 衛星×AIで

独BASFが全国農業協同組合連合会JA全農)と連携し、膨大な栽培データを学んだAIと日々の衛星データを組み合わせた栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」の利用が広がっています。


ザルビオは過去10年以上の国内外の栽培や学術論文の膨大なデータを機械学習し、衛星や気象のデータを組み合わせてリアルタイムで解析。土壌や生育のムラに応じ、肥料の量を変える「可変施肥マップ」などを自動でつくります。BASFは全農と組み、21年4月から稲作などで提供を開始。これまでの衛星データの活用は主に農地や農作物の分析でしたが、ザルビオは土壌や生育の解析にとどまらず、熟練農家のように病害なども予測。種まきから収穫まで、圃場(ほじょう)や品種ごとに適した農作業の提案までこなすことが特長です。稲にカビが広がる「いもち病」の予測率は97%以上でアラートを出し、約8割が3日以内の精度で最初の発病の有無やタイミングを予測し、早めの対応を促してくれます。


我が家も10アール弱の田んぼで稲作を細々ながらやっていますが、いつかはこういうITの力を借りたいと思っていましたが、コストをかけるほど大規模な水田ではないので難しだろうなとは思っていました。しかしこのサービスは、20アール規模の小さな水田にも対応し、料金は2圃場以下ならなんと無料とのこと。これは面白そうと、さっそくアプリをダウンロードし、登録までしてみました。


9月に稲刈りを終え、今はお休み中ですが、来年の田植えに向けてぼちぼち土づくりも始めています。来シーズンに向けてアプリの使い方にも慣れたいと思っています。米作りの生産性をデジタル技術で高める「スマート稲作」の実用化は増えており、ザルビオ以外にもサービスはあります。競争していきながら、サービスの使い勝手もよくなっていきそうなので、来年以降の楽しみがひとつ増えました。

 

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サッカー日本代表、PK戦でクロアチアに敗れ、ベスト16で敗退

サッカー日本代表PK戦クロアチアに敗れ、ベスト16で敗退


残念な結果に終わりましたが、よく頑張りました。今大会で初めて先制し、前半を終了。ドイツ戦やスペイン戦では前半に失点しましたが逆転。「前半は0-1でもOK」が合言葉のようになっていましたが、逆に「前半1-0」になり、チームは想定もしていたと思いますし、先制点を獲ることはとてもいいことなのに、先制してリードした日本に若干戸惑う自分がいました。


後半に入り、55分に強いヘディングシュートをガツンと決められ、1-1に。これも、0-1から追いついた1-1と、1-0から追いつかれた1-1は、同じスコアなのに随分と気持ちが違うなと思いました。これは、選手たちも感じていたかもしれません。前半は、ボールもそこそこ支配し、勇気のある縦パスも多く、4試合の中で一番いい前半だったと思いましたが、後半に失点してからは2点目を防ぐのに精いっぱいという感じでした。
切り札的な途中交代の浅野選手は、ドイツ戦に見せたような裏抜けがなかなかできず、三苫選手もマークの後ろにもうひとりカバーする選手が準備されており、攻撃を封じられてしまいました。


PK戦はもうしょうがないです。PKを失敗した3人は3人とも力のないキックでしたが、まあしょうがないと思います。蹴る順番を、PK戦直前に「最初に誰が蹴る?」と選手に決めさせていたのにはびっくりしました。選手の自主性を重んじる森保ジャパンらしさは最後まで続きました。批判する人もいるでしょうが、蹴りたい人が蹴る、それはそれでアリだと思います。監督が決めるか、選手が決めるかは、いい悪いではなくて、好き嫌いだと思います。最初に蹴った南野選手の勇気には拍手を送りたいと思います。


最後にGK出身としては、クロアチアのリバコビッチに触れたいと思います。彼のPKストップは見事でした。日本もクロアチアも欧州のトップチームでプレーする選手が何人もいますが、日本の権田選手もリバコビッチも国内リーグでプレーする選手です。クロアチアリーグでプレーする選手でもあのクオリティ。GKの層の厚さを改めて感じました。


日本代表は負けてしまいましたが、まだまだW杯は続きますので、最後まで楽しませてもらおうと思います。

令和の国難に防人の備え 歴史が教える負担の覚悟

現在の日本周辺を考えると、軍事侵攻を続け核で脅しをかけるロシア、弾道ミサイルを発射し続ける北朝鮮、そして台湾統一に向け意欲を隠さない中国など、独裁国家に囲まれた厄介な状況にあると、記事は始まっています。


過去の日本の歴史を振り返ると似たような時代があり、現実を直視せず戦争に突き進んで国が滅んだ1945年を別にすると、過去にはおそらく3度の国難というべき国家の危機があったと芹川論説フェローは言います。


最初は、663年の白村江の戦い百済の援軍として朝鮮半島に大軍を派遣するものの、唐・新羅の連合軍に大敗しました。2度目は、蒙古襲来。2度にわたって襲撃されましたが、暴風雨などにも助けられ、退いてくれました。文永・弘安の役です。3度目が1853年の黒船到来からの約半世紀、最大ピンチは1904年の日露戦争でした。


それぞれの危機で、日本は国を挙げて国防の努力をしました。白村江の戦の後、大和政権は大宰府を固め、南方には支援基地を設けました。対馬から大和にかけては朝鮮式の山城も作り、飛鳥から、より内陸の近江大津宮に遷都までしました。


元寇の時も、神風に助けられたものの、九州の御家人たちがよく戦い、博多湾沖には防塁を築きました。


日露戦争は、まさに「皇国の興廃」を決する戦いになり、本格的な物量戦に突入。軍費の調達が最大の問題であり、その立役者が高橋是清でした。外債の発行は有名ですが、国内でも戦費を賄うためにあらゆる項目で増税しました。恒久財源として相続税を新設し、塩を専売にしました。


もちろん、日露戦争と今を単純比較はできませんが、古代の防人・中世の御家人・そして明治の人々の涙ぐましい努力で踏ん張ってきましたが、令和の国難に相対して、その覚悟と気概が今の日本にはありますか?と、記事は締めくくられています。歴史は巡り巡ります。今こそ歴史に学ぶ時だと思います。

 

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サッカー日本代表、スペインを下し、グループリーグを首位追加

今朝の4時から行われた、サッカーW杯カタール大会のグループリーグ最終節の日本vsスペイン。前半にスペインに先制されたものの、後半に堂安律の同点ゴールと田中碧の勝ち越しゴールを全員守備で守り抜き、2-1の逆転勝利。2勝1敗の勝ち点6で堂々の首位通過となりました。


私の日本予想はベスト4なんですが、グループリーグは負け・勝ち・引き分けの予想でしたが、実際は勝ち・負け・勝ちと1試合も当たらず、2位通過予想も外れ首位通過。何一つ当たりませんでしたが、勝った試合も負けた試合も感情の起伏が大きい、スペクタクルな3試合でした。

 

今回、ドイツとスペインという優勝候補の国を2つも破ったわけですが、欧州の国に一泡、いや二泡も吹かせてくれたことが何よりもうれしいです。何故かと言うと、所属クラブから離れて代表チームとして活動できる、国際試合ができる、インターナショナルマッチデーに日本などの国は欧州のチームと親善試合を組めていたのが、2018年から始まったUEFAネーションズリーグの試合がほぼ埋めてしまうことになり、事実上「非欧州」のチームは締め出された格好になりました。選手の移動も少なく、興行的な面でのメリットは認めますが、アジアやアフリカなどの国は欧州の国との試合が組めず、強化に偏りが生じてしまいます。私たちサポーターも見る機会を奪われました。


しかし、ただ唯一、W杯だけは別。ガチンコ勝負ができます。ここで、モロッコがベルギーに勝ち、オーストラリアがデンマークに勝ち、日本はドイツとスペインに勝ちました。スペインは2位で通過はしましたが、あとの3チームはグループリーグ敗退しました。欧州の似たようなチームとばっかり試合をしていてもいいの? ちょっと毛並みの違ったアフリカやアジアや南米の国と4年に1回の、しかもW杯本番でしか戦わなかったら、これからもどんどん足元救われるよ。そりゃあ、まだまだ欧州の国が強いですが、そんな嫌味もちょっと言ってみたい。大いに留飲を下げてくれた日本の活躍でした。


最後に、今日の試合のMVPを自分なりに考えてみました。もちろん「全員」と言いたいところですが、谷口彰悟を挙げたいです。第2戦のコスタリカ戦は、W杯初出場の選手が効果的にプレーできず、敗戦の一因となってしまいました。そんなのしょうがないことなんですが、しれっとこの重要な第3戦のしかも超重要な3バックの一角で初出場しました。そんな心配も全くなし。映像で谷口を抜かれるシーンは全くありませんでした。ということは、自分のマークに仕事をさせず、守備エリアを無難に守り、何のトラブルも事故も起こさず97分プレーしきりました。攻撃の選手は逆ですが、GKを含めた守備の選手は目立たないに越したことはありません。それを初出場でやり切るとはホント恐れ入りました。累積警告で板倉滉が出場停止ですが、十分穴を埋めてくれそうです。


決勝トーナメント1回戦はクロアチアと。前回大会準優勝国ですが、ドイツやスペインより強いということはありません。十分戦えます。新しい景色をぜひ私たちにも見せて欲しいと思います。


がんばれ、ニッポン!

進まぬ途上国支援 削減停滞、先進国も痛み

6年ぶりにアフリカ開催となった第27回国連気候変動枠組み条約国会議(COP27)。今回のCOPでは、途上国首脳の先進国へのいら立ちが次々と明らかになりました。


中央アフリカのトゥアデラ大統領が「人類を(温暖化という)危険にさらしているのは富裕国とはっきり言うべきだ」と言い、セーシェルのラムカラワン大統領が「地球の破壊にほとんど関与していないのに、我々は最も苦しんでいる」と言っていますが、あまりの正論に先進国首脳は反論できないと思います。


2020年までに気候変動対策で年1000億ドル(約14兆円)を途上国に拠出するとの公約が未達であり、経済協力開発機構OECD)によると、実際の拠出額は20年に833億ドルで、今回の会合で英国やドイツが表明した支援を足してもなお届かないということが、途上国の不満の原因のひとつです。


さらに、これまでは途上国のまとめ役として支援義務からは外れていた中国とインドに対しても、途上国を支援すべきだとの声も広がっていることも特徴的です。アンティグア・バーブーダのブラウン首相は8日、ロイター通信に「中国とインドが主な汚染者だと皆が知っている。汚染者は支払わなければならない」と述べています。中国とインドが主な汚染者であることは疑いようのない事実です。気候災害が頻発するなか、中印の特別扱いを疑問視する途上国が増えたこともよくよく理解できます。


気候変動対策に対する世界の対応として、原因と対策はわりとはっきりしているのに、なかなかことが進まず悩ましいです。

 

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人権問題、ピッチ外でも 「多様性示す帽子」巡り波紋

サッカーW杯の開催地カタールでの性的少数者や移民労働者の人権問題についての波紋がじわじわ広がっています。


ピッチ内では、性的少数者への差別撲滅を訴える「ワンラブ」と書いた腕章を欧州の7か国のキャプテンが着用してW杯に出場する予定でしたが、FIFAは着用した選手がイエローカードの対象になると警告され、ドイツ代表の主将のノイアーを始め、試合にはつけずに臨みました。そのかわりに、日本戦の試合開始前の写真撮影では、全員が口を手で隠すという何とも意味深なポーズをとりました。


21日にはウェールズのサポーターが会場で、性の多様性を示す虹色のバケット帽を脱ぐよう求められ、世界に波紋が広がりました。SNSでは対応を非難する投稿が相次ぎ、あえて虹色の帽子をかぶって観戦する人も現れたようです。ウェールズサッカー協会は、国際サッカー連盟に観客が虹色の帽子や旗を会場に持ち込めることを確認したとして「FIFAに対し全ての人が歓迎されるというメッセージを守り、人権問題を強調するよう要請する」と声明を出す事態となりました。


カタールの試合会場やホテルなどの建設には移民労働者が多く従事。人権団体のアムネスティ・インターナショナル日本は、2010~19年までに1万5千人が死亡したと報告しています。同国政府の統計は多くを「自然死」としているが、同団体は実際は熱中症などを要因とする労働関連死も多数含まれると指摘しています。同国の人口のうち、カタール人は10%ちょっと。大半が、海外からの出稼ぎ労働者が中心です。自国の開催国としての名誉を守るために、外国人労働者を犠牲にしているとしたら言語道断なことです。
大会組織委員会の広報担当者は「建設的な批判には向き合ってきたが、不公平なものが含まれている」としていますが、今は大会中なので戦っている選手のことを考えてもそれでもトーンは静かめですが、大会終了以降にいろいろと紛糾しそうです。

 

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中国ゼロコロナ、緩和策が市民に届かず主要都市で抗議

国際政治学者のイアン・ブレマー氏が2022年の10大リスクとして「中国のゼロコロナ失敗」を挙げていましたが、年末に近づいてきてかなり表面化してきたようです。

 

ゼロコロナ政策への抗議活動、具体的には政府の打ち出した緩和策を地方レベルで実現できず、それが市民の強い不満となって表れているようです。コロナ対策をかじ取りする国家衛生健康委員会は11日、「長期封鎖の乱用禁止」など20項目の緩和策を発表したが、緩和策を実行して感染を拡大させてしまったらそれこそ中央から低評価をうけるので、それを懸念する地方当局は感染拡大の抑制を優先し、十分に実行できていないようです。


中央と地方の思惑はいいとして、日常生活に大きな影響を被っているのは市民です。今回の抗議活動の広がりの直接のきっかけは、24日に発生した10人が死亡したとされる新疆ウイグル自治区ウルムチ市の火災です。SNS上ではロックダウン影響で「消火活動が遅れた」との情報が出回り、犠牲者の追悼が抗議活動に発展、首都北京市四川省成都市、湖北省武漢市、広東省広州市などに広がっています。


抗議活動の中には中国の体制批判も含まれているようですが、個人的には暴力的に弾圧をしたりせず、余裕を持って見守っているように思います。国民の不満はある程度理解はできる、ガス抜きも必要だと思っているかもしれませんし、いざ鎮圧しようと思ったら香港の時のようにやればいいとタカをくくっているのかもしれません。


そもそものゼロコロナ政策を続ける理由は、中国産のワクチンの有効性が低いことが挙げられます。たいして効かないワクチンを接種しているので、感染が急拡大すると脆弱な医療体制が持ちません。だったら、欧米のmRNA型ワクチンを分けてもらったらいいんですが、供給してもらえないのか、中国側の意地なのかはわかりませんが、それはしないようであくまで自国開発にこだわっています。


抗議活動が今後どう広がっていくか、当局がどう静めていくか、大変気になります。

 

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