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進まぬ途上国支援 削減停滞、先進国も痛み

6年ぶりにアフリカ開催となった第27回国連気候変動枠組み条約国会議(COP27)。今回のCOPでは、途上国首脳の先進国へのいら立ちが次々と明らかになりました。


中央アフリカのトゥアデラ大統領が「人類を(温暖化という)危険にさらしているのは富裕国とはっきり言うべきだ」と言い、セーシェルのラムカラワン大統領が「地球の破壊にほとんど関与していないのに、我々は最も苦しんでいる」と言っていますが、あまりの正論に先進国首脳は反論できないと思います。


2020年までに気候変動対策で年1000億ドル(約14兆円)を途上国に拠出するとの公約が未達であり、経済協力開発機構OECD)によると、実際の拠出額は20年に833億ドルで、今回の会合で英国やドイツが表明した支援を足してもなお届かないということが、途上国の不満の原因のひとつです。


さらに、これまでは途上国のまとめ役として支援義務からは外れていた中国とインドに対しても、途上国を支援すべきだとの声も広がっていることも特徴的です。アンティグア・バーブーダのブラウン首相は8日、ロイター通信に「中国とインドが主な汚染者だと皆が知っている。汚染者は支払わなければならない」と述べています。中国とインドが主な汚染者であることは疑いようのない事実です。気候災害が頻発するなか、中印の特別扱いを疑問視する途上国が増えたこともよくよく理解できます。


気候変動対策に対する世界の対応として、原因と対策はわりとはっきりしているのに、なかなかことが進まず悩ましいです。

 

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