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上皇さま、戦禍の真相、問い繰り返す

上皇さまが在位時代の2013年2月から16年6月までに計6回、昨年亡くなった作家の半藤一利さんやノンフィクション作家の保阪正康さんらを御所に招いて懇談されていたことが分かりました。


ネット記事は少量なので、機会があれば本紙を読んでもらい、詳細は今日発売の「文芸春秋」新年号に掲載されているようです。懇談の内容は、満州事変など戦禍の真相について質問を繰り返していたようで、戦争犠牲者を悼み、慰霊に尽力された上皇さまがどのような思いで平成時代に「象徴の務め」を果たされた背景が少し理解できます。


たとえば半藤さんらが満州事変について話題になった時に上皇さまが「関東軍が仕掛けた謀略という理解でよろしいのですね」と念を押したとありますが、ちょっとドキッとしました。あと「日本にはどうして民主主義が根付かなかったのでしょうね」と質問され、半藤さんや保阪さんが一瞬たじろいだともあります。民主主義が根付いていれば、軍の暴走も起こらず、開戦にはならなかったのでは?と言いたいのでしょうか。


一連の懇談を通じて保阪さんは「上皇さまが心の叫びに近いものを持ち続けていると感じる」と書かれています。そしてその叫びを「天皇の名において何百万人もの人が戦争で死んだんですよ。先帝と私は違う人間とは言え、今の天皇は私です。私はどうすればいいんですか」と考え続け、心の葛藤を背負いながら戦後を生き、天皇として上皇后さまと追悼と慰霊の旅を繰り返してきたとのだと推測されています。


太平洋戦争の開戦から昨日で81年というタイミングもありますが、日本の防衛について動き出した今、いろいろと考えさせてくれるニュースでした。

 

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