時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

中国の「ゼロコロナ」事実上崩壊

新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策が、12日までに事実上崩壊しました。流行が急拡大している北京で当局発表の感染者数が減少傾向となっており、政府は実態把握を放棄したもようです。行動制限の専用アプリも13日に廃止。政府は「自己責任」で対策を取るよう呼びかけるなど、一気に緩和を通り越して、解除に踏み切ったのは驚きです。


徹底した検査と隔離、封鎖で14億人を縛り付ける方法は限界に達しました。そうせざるをえなかった理由のひとつは、国民の不満の高まりです。国民の我慢は限界を超え、各地で抗議デモが広がりました。


もうひとつは、経済への打撃。7~9月期のGDP成長率は前年同期比3.9%とふるわず、年間目標5.5%の達成は難しく、こちらは習指導部の限界を超えたということでしょう。
「破綻」や「失敗」など強い言葉が記事に目立ちますが、個人的には大規模なロックダウンはひとつのとりえる方法ですし、中国以外でもやってきました。ある程度感染拡大を抑え込めていたようにも見えたので、これまでの3年間が全くの失敗だったとは正直思えません。


ただ、問題はこれからです。行動制限を緩和し、約3年間抑圧されてきた人々が動き出します。来年1月の旧正月の大型連休では、規制や旅行による大移動も予想されます。コロナウィルスは変異していってはいますが、基本的には感染力の強い伝染病です。中国の医療体制は脆弱で、有効性の高いワクチンを接種できていません。


北京では政府が11月に対策を緩和した途端に高熱や咳などの症状を訴える人が急増し、「従業員100人のうち出社しているのは半分以下」というある会社の幹部のコメントもある通り、北京でこれですから地方はどうなるんだろうと心配になります。


中国のゼロコロナ政策。終わりの始まりです。どう考えても悪い予感しかしません。

 

www.kobe-np.co.jp