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公明、中国「脅威」認識に難色 防衛3文書改定で

国家安全保障戦略など防衛3文書の改定作業で公明党が慎重論を唱える場面が目立ちました。

 

自民党は4月の3文書への提言で中国を「安全保障上の重大な脅威」としており、日本政府が使ってきた「懸念」よりも強い表現を使っていました。それに対し公明党の山口代表は「あえて『脅威』と呼ぶのは望ましくない」と訴え、最終的に国家安保戦略で国際秩序への「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と盛り込むことになり、後退した格好になりました。


公明党は結党以来たびたび訪中団を送り、中国との関係を重視してきました。日中国交正常化で橋渡し役を果たしたことでも知られています。山口氏は近く3年ぶりとなる訪中を探っており、機運を保つために「脅威」という文言の明記を避けたとの見方があると記事にはありますが、それが理由とすれば少し首をかしげてしまいます。


他にも、海上保安庁の役割に、軍隊としての機能も増強したい自民党に対し、「海保は軍事組織ではなく、自衛隊とは区別すべき」とし、「海保は自衛隊との連携・協力を強化する」に留まりました。防衛装備品の輸出も慎重な姿勢を崩しておらず、自民党との温度差がかなり目立っています。


これは自民党公明党との間だけの温度差ではありません。米国はオースティン国防長官が公の場で中国を「脅威」と発言しており日米の目線がそろっているとは言い難いです。公明党の存在が日米同盟の不安定要素となりかねないと、結構強い表現が記事にもあります。


基から分かっていたことですが、自民党公明党の対中国や防衛についての考え方の隔たりはありました。自民党としては連立を組む公明党に対して、フラストレーションが溜まっていることは容易に想像できます。維新は岸田首相の間はあまり協力はしなさそうですが、ここにきて少しずつ国民民主党が存在感を発揮しだしました。


公明党としても、連立与党としては難しい立場です。防衛力の強化自体は賛成の立場で自民党との協議に臨んでおり、反撃能力の保有でも厳格な歯止めは求めませんでした。しかし、譲れないところは譲れない。各党間の様子をしばらく見守りたいと思います。

 

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