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オープンAI 社員9割離反、アルトマン氏復帰要求

ChatGTPを開発した米オープンAIの経営を巡る混乱が続いています。

2015年に研究を目的としたNPOとしてオープンAI社はスタートしており、経営権を握るNPOの理事(企業の取締役に相当)が、コミュニケーションの不備を理由に、共同創業者のひとりであるサム・アルトマン氏の解任を発表したのが17日。

2日後に、ゲーム配信サービスの運営会社を立ち上げたシア氏を後任に据えましたが、社員の大半が反旗を翻します。20日午前0時頃には、アルトマン氏のマイクロソフト入りをナデラCEOが発表。オープンAI社は開発費の捻出を目的として、NPOとは別の「子会社」を2019年に設立し、現在はマイクロソフトが49%を出資していると見られています。同社による出資は100億ドルと巨額です。

20日の朝には、オープンAI社内での署名活動が表面化。理事会の総退陣やアルトマン氏の復帰を求め、約7700人の社員の実に9割超が退社を示唆する泥沼状態に陥っています。アルトマン氏を解任したらこうなることを、NPOの理事会のメンバーは分からなかったんでしょうか?どう考えても、マイクロソフトがアルトマン氏を厚遇して引き取りそうだし、社員たちは「泥船」から出ていくでしょう。

アルトマン氏がマイクロソフトに入るにしろ、オープンAIに復帰するにしろ、マイクロソフトにすれば「漁夫の利」を得そうです。これまではNPOの理事会にマイクロソフトから理事を送り込めていませんでしたが、仮にアルトマン氏が戻ったとしたら、理事を送り込み、解任させた理事を今回の混乱の責任をとって退かせることもできるでしょう。もちろん、アルトマン氏と9割の社員が入社すればベストでしょう。

アルトマン氏のいないオープンAIの理事会は、投資家から訴訟されるリスクも取りざたされています。取り返しのつかない解任劇となりそうです。

 

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