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新種の起業家、OpenAIアルトマンCEO

いま世界で最も注目されている起業家のひとりが、生成AIのチャットGPTを開発した米オープンAIのサム・アルトマンCEOです。日本にもいち早く来日して話題になりましたが、そこから最近にかけてさらに注目度が増している気がします。

これまでの起業家像は、異端、独走、破壊。スポットライトを浴び称賛される起業家は、イーロン・マスク氏のような人が象徴でした。規制についても「政府は引っ込んでいた方がいい」というのが基本姿勢。それがアルトマン氏は、5/16の米議会での公聴会で、高度なAIの開発や提供にライセンス制を導入するよう政府に提案しました。国際原子力機関IAEA)を引き合いに出し、世界的な規制の必要性にも踏み、「大企業や民間部門の代表者がやってきて『自分たちを規制してほしい』と懇願した例を思い出せない」と公聴会に出席した議員を驚かせました。

自社の手足を縛りかねない主張を堂々とする。確かに、そこにはかつてない起業家の姿があったと記事にはあります。アルトマン氏は、人より賢い汎用AIがもたらす恩恵を解く一方、リスクも素通りしません。人類絶滅を危惧する共同声明にも署名。これは知りませんでしたが、オープンAIの株は「好きだからこの仕事をやっている」と持っていないとのこと。支配的な議決権を握る米グーグルやメタの創業者とも違います。

山積みの社会課題を前に、テクノロジーをテコにして解決しようとする起業家が世界で増えています。そんな起業家群を、経済的な成長と社会的な価値創出の両方をねらう「インパクトスタートアップ」や「ゼブラ企業」というそうです。これまで日が当たりにくかったが、アルトマン効果で拍車がかかる可能性があります。特に現代の若者には刺さる概念でしょう。経営モデルとして「営利・非営利のハイブリッド」を選ぶ動きがスタートアップの間に広がるかもしれません。そうなったとしたら、私たちの未来はなかなかに明るいです。

 

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