中国の習近平国家主席のG20欠席のニュースには少し驚きました。BRICS首脳会議の次はG20で世界にリーダーシップをアピールするチャンスをなぜフイにしたのか、理由を知りたいなと思っていましたが、少しずつ見えてきました。
一番の理由は、今年のG20の開催国であるインドとの神経戦でした。これまでのG20は望む望まないにかかわらず中国が主役でしたが、ここ最近急速にグローバルサウスの盟主としてインドの存在感が高まってきました。今回のG20の開催国がインドなわけですから、モディ首相が中心となる演出になるのは当然です。
インドと中国はなかなかに微妙な関係です。インドは1月に、世界120か国以上の参加を得て「グローバルサウスの声」というオンラインサミットを開催しましたが、中国は呼ばれませんでした。中国が力を入れる上海協力機構も、議長国のインドがオンライン開催にしたため、地味な会議で終わってしまいました。先日8月末の南アフリカでのBRICS首脳会議では中国がやり返し、習氏は儀じょう隊に迎えられるほど特別扱いだった一方、モディ氏は直前までオンライン出席との報道が出たほど存在感が低かったそうです。
あと興味深いのは、習氏の周りの官僚たちが習氏に忖度した可能性があるということです。G20会議や写真撮影で習氏の権威が下がるような扱いを受けたり、自由なインドで聞かれたくない質問に習氏がさらされると、外交関係者は死活的な責任問題になってしまうと。いやはやご苦労、痛み入ります。
G20は、モディ氏が習氏の参加を断ったわけでも、習氏がモディ氏に遠慮したわけでもなく、習氏が目立てそうになく、様々なリスクもあるので御大の出席は見合わせようということのようです。
これでは、先進国に対峙するリーダーになるにはちょっと厳しいと言わざるを得ませんね。