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日本ラグビー、収穫の秋 外交の勝利で「最上位国」

日本の「外交の勝利」なんて、聞きなれない言葉です。敗北ならありますが…。でも、日本ラグビーのティア1入りは確かに外交の勝利と言えます。

国際統括団体ワールドラグビー(WR)が統治するラグビー界には勝敗や世界ランキングとは別に、世襲的に固定した身分制度があります。中でもティア1はニュージーランドなど伝統国が含まれる最上位層。W杯などの大会でのグループ分けだけでなく、様々な重要案件がティア1国の意向に左右されます。長らくティア2の扱いだった日本はアジアで初めてティア1に昇格しました。

日本のティア1入りには2020年のWR会長選が絡んでいたそうです。出馬したボーモント氏を日本は支持し、貴重な2票を別候補と分けず2票とも投じ、わずか5票差という僅差の勝利を後押しする格好になりました。選挙の前からボーモント氏から「当選した暁には…(ティア1入りを検討する)」という話がありました。前年に開かれた自国開催のW杯で初めて8強に進み、過去最高の売上も記録。ティア1入りにあとはきっかけ次第という感じでした。日本の「賭け」は成功し、ティア1はハイパフォーマンスユニオンに改組され、日本の椅子も用意されていました。

さらには、日本とニュージーランドの両協会が5月に代表チームの定期戦で協力する覚書も締結しました。オーストラリアとも同様の覚書を締結。ティア1の強豪国との関係を急ピッチで密にしています。

2015年大会では南アフリカを撃破、2019年大会は初のベスト8、日本の国内リーグ「リーグワン」には海外14か国から56人の代表歴のある選手が集結します。2035年には2度目のホスト役として声もかかります。フィールド外での追い風も背に、9月からのW杯フランス大会に挑みます。

 

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