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インドネシアの開催権はく奪 サッカーU20W杯

国際サッカー連盟FIFA)は29日、男子のU-20ワールドカップの開催権をインドネシアから剝奪すると発表しました。代替開催地は未定。

世界第4位の2億7000万人の人口の約9割がイスラム教徒で、パレスチナに同朋意識を持つ人がインドネシア。そのパレスチナと対立するイスラエルとは外交関係がなく、入国への拒否反応が強く、イスラエルがU20W杯への出場を決めて以降、ジャカルタでは参加の拒否を求めるイスラム保守派のデモが続いていました。バリ州の知事は青年・スポーツ省にイスラエル代表の受け入れを拒否する書簡を送付。同じく開催地にもなっている中部ジャワ州ガンジャル知事もイスラエルの参加に反対を表明。ガンジャル氏は来年2024年2月の大統領選の有力候補のひとりなので、巨大な「イスラム票」を意識してのパフォーマンスでしょう。

明日3/31にバリ島で行われる予定だった組み合わせ抽選会が中止になったというニュースは昨日見ました。大会は5/20~6/11に開催される予定で、残された時間もそれほどなく、ややこしくなってきたなと思っていたら、FIFAインドネシアからの開催権はく奪を発表しました。

大会には、ブラジルやフランス、そして日本など24チームが参加予定でした。大会自体が中止となったわけではなく、代替開催地を検討しているようです。

インドネシアとしては、大きな汚点を残してしまいました。インドネシアでは昨年1月に行われた国内リーグで、敗戦に激怒したサポーターの暴動を抑えることができず、ピッチに乱入したファンだけでなく、多くのサポーターが残っているスタジアムのスタンドに向けても催涙弾を放ち、スタジアム内でパニックが発生。逃げ場を失ったファンが狭い出口に殺到したことで押し潰された人や、催涙弾による窒息死などで、少なくとも131名が亡くなるという大惨事を引き起こしたところでした。その時も、翌年に開かれる予定のU20W杯への懸念が広がりましたが、FIFAのインファンティーノ会長は開催権をはく奪しないことを保証していました。

ある意味イエローカードを1枚もらっていた矢先の失態。次はレッドカードということなのでしょう。2018年にはアジア大会を開催し、今回のU20W杯。東南アジアの大国として、ゆくゆくはオリンピック・パラリンピック、そしてフル代表が参加するサッカーW杯の開催、と夢見ていましたが、これで相当遠のいてしまいました。残念の一言です。

 

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