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米PGAツアー、LIVゴルフと統合 立役者の処遇は...

これはまたビッグニュースが飛び込んできました。以前、マスターズ大会の時に取り上げたゴルフ界の確執「米PGAツアーvsLIVゴルフ」がなんと事業統合することで合意したと発表しました。

立役者のひとりは、オーストラリアのグレグ・ノーマンです。「ホワイト・シャーク」の愛称で知られ、メジャー通算2勝の名選手。優れた発想力と行動力の持ち主でもあり、選ばれた少数の実力者だけが、少ない試合で高額賞金を懸けて戦う「スーパーリーグ構想」を約30年前に掲げたものの、PGAの当時の会長に大反対され、構想は立ち消えになったと思ったら、数年後に「世界選手権シリーズ」が米ツアーに新設され、「無断でコンセプトを真似された」とノーマンは激怒しました。

昨年旗揚げし、自らがCEOに就いたLIVゴルフは、そんなノーマンの再決起と言えます。今回事業統合した新体制の中に、ノーマンの名前があるかどうか。

もうひとつは、LIVゴルフのバックのサウジアラビアです。サウジアラビアは脱石油依存の経済改革「ビジョン2030」を策定し、2016年以降国際スポーツのイベント誘致を強化してきました。今年12月には、サッカーのクラブワールドカップの開催国に。イングランドプレミアリーグの古豪ニューカッスルをサウジの政府系ファンドが買収しました。このほか、ボクシングやF1などを自国開催。サッカーW杯や五輪などのメガイベント誘致の布石と見られています。

ゴルフもまさにそのひとつで、米PGAツアーは、LIVゴルフ=サウジの資金力に食いついたわけですが、PGAツアーは、サウジの人権問題とジャーナリストのカショギ氏の殺害事件への関与などを理由に、「スポーツウォッシングだ」と激しく批判してきました。「悪」と罵ってきたサウジマネーと歩んでいくことを決めたわけですが、PGAツアーについているスポンサーや選手はどんな気持ちでしょうか。

ノーマンの行く末と、サウジの未来。ゴルフ界にとどまらない問題になってきそうです。

 

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