イスラム教の聖地メッカへの大巡礼が始まりました。サウジアラビア政府によると2023年は200万人以上の巡礼者を迎える予定で、コロナの規制が始まった2020年以降で最大になります。
サウジはメッカとメディナというイスラム教の二大聖地を抱えます。聖地への大巡礼を「ハッジ」といい、財力などがあるイスラム教徒なら一生に一度は行うべきとされています。私もインドネシアで働いていた時、同じ事務所のムスリムのスタッフがハッジに行くとのことで、カンパに協力したことがあります。
コロナ前の2019年には約260万人が巡礼に。中東メディアによると、23日までにサウジに到着した巡礼者はすでに160万人超。アラブメディアは、イエメンの首都サヌアから巡礼者を乗せた航空機が約7年ぶりにサウジに到着したと伝えました。イエメンは、イスラム教シーア派勢力であるフーシと、スンニ派大国のサウジアラビアなどが支援する暫定政権の内戦下にあり、首都サヌアはフーシが支配しています。
3月には、中国の仲介でイランとサウジが外交正常化で合意し、サウジとフーシ間でも捕虜の交換が実現するなど、和平の機運が高まっています。サヌアからも多くの巡礼者を受け入れることから、中東の緊張緩和に繋がりそうで、いいことです。
サウジの軟化は、脱資源・脱石油・脱炭素を目指す「ビジョン2030」構想にすべて繋がります。スポーツに力を入れていることは、この時事マラソンでも触れていますが、巡礼者や観光客の受け入れも産業多角化戦略のひとつです。
これからは、インドと共にサウジアラビアにも注目です。