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中国が人口減 働き手10年で9%減、老いる世界のけん引役

中国が人口減少時代に入りました。2022年末の人口は61年ぶりに前年末を下回り、世界最大の人口大国をインドに譲ったもようです。

出生数が106万人減の956万人と1949年建国以来、初めての1000万人割れ。これから影響が出てくるのが「働き手の数の減少」です。2020年の国勢調査によると1963~75年生まれが各年2000万人を超す中国版「団塊世代」で、トップバッターの63年生まれの男性が法定退職年齢の60歳(女性管理職は55歳)に達する2023年から大量退職が本格化します。習指導部は、法定退職年齢の引き上げを目指しますが、年金減額への反発や若者の失業悪化を懸念し具体策はみえず、簡単にはいきそうにありません。

先進国に近づいてくると、人口の減少はいずれ止まってくるのは、日本を初めどの国も経験していることですが、厄介なのが「減少のスピード」。これが中国の場合は、一人っ子政策の後遺症がこれからダメージとして相当効いてきます。

2016年に一人っ子政策を廃止し、今では地方政府などが出産と育児をしやすい環境づくりに邁進しています。教育費負担を軽減するため、塾業界を犠牲にしてまでも、塾通いを減らす政策を打ち出したのもそのひとつです。ただ、これまでは産み過ぎへの罰金や不妊手術の推奨など、かなり極端なことをやってきたのに、いきなり180度方針転換されても、すぐには切り替えられません。若者の結婚観は変わっており、中国で2013年に結婚したカップルは1347万組いたのが、2021年には764万組と半分近くになっています。複数産むどころか、結婚しても子どもをつくらないカップルも少なくありません。

中国のすべてを指導する共産党は、1億人近くいる共産党員に向けて子どもを3人つくるよう呼び掛けています。「範を示せ」ということでしょうか。共産党指導部の危機感を受けて、彼ら彼女らが中国国内で「産めよ増やせよ」と啓蒙活動をしていくことになります。2021年に、共産党系のメディアが、共産党員に対して「たとえ年齢や健康の理由で子どもをつくれなくても周りに子づくりするよう指導することはできる」と促したところ、猛反発を受けてその記事は撤回に追い込まれたようです。そりゃそうでしょう…。

 

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