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ドイツ流「価値観外交」関係強化、進む対日シフト

日本とドイツの距離が縮まっています。メルケルさんが首相だったころは、サミットくらいしか来日しませんでしたが、ショルツ首相が4月に首相としては初来日し、今月1日にはシュタインマイヤー大統領が、昨日3日はドイツで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれました。


頻繁な政治交流の背景にはドイツの外交・安全保障政策の転換があります。ロシアのウクライナ侵略を受けて強権国家に強硬姿勢で臨み、民主主義陣営との関係を深める「価値観外交」にドイツはかじを切った、と記事にはあります。価値観が一致する国家の日本と関係強化を進めたいというわけです。


大きな方針転換ともいえるドイツのふるまいには理由が2つあるといいます。1つは「強権国家への融和策の放棄」。これまでドイツは強権国家との外交対話を重んじてきました。ブラント西独首相が共産圏融和策として東方外交を提唱し、東西ドイツの再統一につながったという成功体験があったからです。ロシアのウクライナ侵略で強権国家に強い態度で臨み、中国への警戒感も急速に高めています。ドイツは来春にも「対中政策の基本指針」をとりまとめる予定で、中国に市場開放や人権尊重などを求めるなど強硬姿勢がにじむものになりそうです。


もう一つは「米国のアジア政策への協力」があります。対ロシアで米国は欧州の後ろ盾。その代わりに対中政策で欧州が米国に寄り添う形になります。


遠くの国と親しく外交し、近くの国を両者で挟み撃ちにする「遠交近攻」という考え方からも、ドイツとの関係が進むのは、対ドイツでも、対EUでも日本にとってはプラスが多いです。しかし、メルケル時代にあれだけ中国べったりな経済政策をとっていた印象は強く、また対中融和に戻るのではないかとの疑心暗鬼がなおあると記事にもある通り、少し心配ではあります。


今日、ドイツのショルツ首相が訪中しますが、果たしてどんな話になるのか、これにも注目しています。

 

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