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経済安保、食料さえも武器に 友好国と再構築

ロシアのウクライナ戦争の影響で、エネルギー価格だけでなく小麦の国際価格もこの1年で4割上昇し、各国に大きなダメージを与えています。


もし中国が台湾に侵攻し、その中国に対し経済制裁をする返り血として輸出を控えられたら…。ロシアのメドベージェフ前大統領が「食料は武器。静かだが強力だ」と言っていますが、ロシアからのエネルギーや食料の輸入はそれほど大きくないので何とか今くらいで済んでいますが、中国から滞るとなると相当厳しくなります。


農林水産省によると日本の食品消費額は約15兆円。輸入品が3割を占め、中国が米国に次ぐ輸入先です。国連貿易開発会議によれば2021年に日本が輸入した野菜の53%、加工魚の52%が中国産。さらに深刻なのが農業に欠かせない肥料で、肥料の輸出量はロシアと中国が首位と2位で全体の3割を占めます。9月の国際価格は中ロが輸出を絞った影響で前年同月比7割上昇しました。日本ではコメなどに使う化学肥料のリン酸アンモニウムのほぼ全量を中国に依存しています。


当然、中国にとって食料や肥料は他国をけん制する戦略カードです。しかし、中国自身の食料の供給網も盤石ではありません。中国の21年の食品輸入額(飲料除く)は5年前の2.5倍の約18兆円まで増えました。特に米国産が輸入の3割を占める大豆は食用だけでなく家畜の飼料にも使われ、輸入できなくなった場合の影響は計り知れません。もちろん緊急事態になったら、日本などへの輸出向けより、自国向けを優先するでしょう。輸入に頼りまくりの日本にとっては危ないことこの上ないです。


食料を安定的に確保する体制をつくるには数年以上の時間がかかります。悠長に構えている時間はありません。

 

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