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株高に潜む「父権主義」のワナ

日経平均株価が1989年末の高値を超え、日本経済が苦しんできた「34年の呪縛」がようやく解けたが、100年前からの呪縛はまだ続くと、記事にあります。

「100年前の呪縛」とは、後に日銀総裁に就く深井英五氏が日銀の書簡で「政府や日銀の父権主義は、国内でも批判されています」と1927年に英文で記したことが紹介されています。明治時代は金融や産業の基盤がもろかったので政府が前面に立つしかなかった。しかしそのような、政府がビジネスを支えるやり方はなくすべきだと学びつつありますとのことですが、残念ながら100年経ってもあんまり変わっていません。

主題にもある「父権主義」とは、パターナリズムとも言い、権力者が保護を目的に弱者に干渉し、市場目線では政や官が企業の活動に介入するとも言いかえれます。

この34年の間に、時価総額を飛躍的に増やしたのは、ニトリやディスコ、キーエンスなど、独創性を発揮した企業です。一方、沈んだ銘柄に目立つのは、父権主義が色濃く残る規制産業です。東証業種別株価指数の下落率を見ると、電気・ガスと証券・商品先物がそれぞれ70%前後、銀行は80%に及びます。

残念ながらこの「下落組」の存在感は小さくありません。34年前と時価総額を比較できる1189社中、増やした会社は3分の1の397社に過ぎず、減らした会社は2倍の792社。これが逆の数字ならいいんですが…。父権主義に染まる多くの会社の株安を、独創的な一握りの企業が株価を4倍近くに高めて埋め合わせたともいえます。

急ピッチで進んだ株高を継続させるには、3分の2を占める「下落組」がカギを握っています。

 

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