時事マラソン

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時短は打者の自覚から 天覧試合は2時間10分

試合の間延びを防ぐために、日本のプロ野球は前打者が打席を終え、次打者がバッターボックスに入るまでの間隔を30秒以内に収めようと申し合わせたそうです。

目的は、試合時間の短縮。試合時間が長時間になると、中身によっては小さな子どもでなくても飽きます。個人的には、サッカーの2時間(45分×2+ハーフタイム)に慣れていると、いかにも野球は長い。目が離せないサッカーに比べると、まだイニングの交替でトイレくらいはいけますが、それでもホームランなどを見逃すと悔しいので、試合終盤は特にかぶりつきになります。そうなると、トータルの試合時間は短いに越したことがありません。夜6時に始まって、せめて9時までに終わると、次の日がラクです。

理想の試合時間として引き合いに出せるのが、かの天覧試合の2時間10分です。

時は1959年、昭和天皇が観戦した後楽園球場での巨人vs阪神戦。藤田元司小山正明の先発なんて、時代を感じさせます。

阪神が3回に小山がタイムリーを放ち先制。5回に長嶋と坂崎のソロ2発で逆転するも、6回の阪神が4-2に勝ち越し。しかし、7回にルーキーだった王が同点2ランを放ち、巨人が2点差を追いつき4-4に。長嶋・王のアベックホームラン106本の最初がこの天覧試合でした。

ここで、阪神の新人・村山実が登板。9回に突入、時計は9時を過ぎ、陛下が観戦できるのは9時15分まで。最後まで試合を見届けられない可能性もあった中、ドラマが起きます。9時12分、9回裏、先頭バッターの長嶋がレフトポールぎりぎりにサヨナラ本塁打を放ち、5-4で接戦に終止符を打ちました。

試合展開を書いているだけでワクワクしてくる好ゲームで、この天覧試合がプロ野球が日本を代表するスポーツになった証とも言えます。これだけの試合がたった2時間10分です。6時に始まったとしたら8時過ぎに終わるなんて、今では考えられません。

アメリカ大リーグでは、ピッチクロックや投手の牽制の規制など、秒単位でプレーの間隔を詰めています。記事にもあるように、あんまり窮屈にし過ぎて、せかせかしたプレーも見たくありません。千両役者は長く見たいという気持ちも分かります。「役者」がそれぞれ、観戦者の気持ちになって、ちょっと急いでくれたらいいと思います。

 

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