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トヨタ、デンソー株にもメス 持合いよりEV投資優先

 トヨタデンソーの株式を売却する方針を決めました。24%の保有比率を20%程度まで引き下げ、3000億円弱を得る見込みです。単なる数字上の資産効率アピールだけではなく、EVなどの開発資金を積極的に増やさなければ、テスラなどとの競争に打ち勝てないという危機感があります。

今月1日の上半期の決算発表会で、グループ間での持ち合いを見直すと発表はしていました。グループ外で3兆円規模であった政策保有株(持ち合い株などの形で取引先との関係維持などを目的として保有)の縮減を打ち出し、7月にはKDDI株を約2500億円で売却、今回はトヨタグループ最大企業デンソー株の売却に着手しました。

トヨタ保有するグループ株はたくさんありますが、今回のデンソー、アイシン、豊田自動織機の「御三家」など主要8社があり、8社の時価総額は約4兆円にのぼります。デンソー以外の7社の保有比率も20%程度に下げれば、トヨタには4000億円超の資金が生まれます。御三家のデンソー、アイシン、豊田織機も互いに株を持ち合っていて、それも縮減を打ち出しているので、株式市場にもいろいろと影響がありそうです。

ハイブリッド車がメインのトヨタですが、ここにきてようやくEVシフトへの意欲を隠さなくなってきました。米テスラや中国BYDと違って「稼げるEV」はつくれていませんが、つくれさえすれば、現在の販売網、修理・整備網などが生きてきます。「後出しじゃんけん」にいい部分もあると思うので、ぜひ頑張ってほしいです。

 

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