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トヨタ過去最高益 好決算も海外では減速懸念

トヨタが昨日発表した2023年4~6月期の連結決算は、営業利益が1兆1209億円と前年同期比+94%、四半期の営業利益は日本企業初の1兆円突破となりました。

売上高は同+24%の10兆5468億円、純利益は+78%の1兆3113億円。四半期の純利益も、トヨタとしては初めて1兆円突破と記念すべき決算発表となりました。車の性能向上に伴う値上げや生産の増加、円安が貢献したとのことです。

どこからどうみても好決算なんですが、海外では懸念材料が出始めています。地域別の販売シェアでみると、日本は35.3%と4ポイント伸びたものの、アメリカは13.8%、中国は7.0%と1.3ポイントずつ下がりました。4~6月期でシェアが下がったのはアメリカが2年連続で、中国は7年ぶり。欧州も0.7ポイント減の6.4%で8年ぶりの低下と、「内弁慶」になりつつあります。

海外でのトヨタの変調の理由は「EVの台頭」とはっきりしています。世界販売の増加率は、トヨタや独VW、米GMの大手3社は1~2割の増加にとどまったものの、EVが主力の米テスラは8割増、中国のBYDは何と2倍増と急成長しています。このあたりにシェアを奪われているようです。

トヨタはEVの世界販売を26年に年間150万台、30年に350万台まで高める計画を掲げます。EV向け電池を含めて生産能力の増強を進めるため、30年までにEV関連に5兆円投資する方針ですが、4〜6月期のEV販売は前年同期比7倍とはいえ、2万9000台にとどまります。

今はHVでしっかり稼いで、EVは2030年頃の「お楽しみ」とも言えます。それくらいの余裕が今のトヨタにはあります。

 

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