時事マラソン

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セオリーを植え付けた老将監督、タイガースを38年ぶり日本一に導く

阪神タイガースオリックスバファローズを4勝3敗で破り、38年ぶりの日本一に輝きました。

今シーズンから岡田監督がタイガースの監督に復帰したわけですが、御年65歳。何年も現場から離れており、選手は息子を通り越して孫みたいな世代になってきている。今の世の中は昔に比べて、変化のスピードが速く、動きも激しい。情報や知識、経験がどんどん時代遅れになっていきます。私自身も50歳を過ぎてから、自分の経験がだんだん通用しなくなっている、今の時代に合わなくなりつつあるなと感じています。

プロ野球の世界もそうです。データが勘や感覚を上回るようになり、選手に年齢が近い40代の監督が当たり前になりました。今年はジャイアンツの原監督がいましたが、退任した来シーズンは岡田監督がとびぬけて年長になります。

岡田監督への期待が大きかった一方、心配する声もありました。いわゆる「昭和の野球」が令和の今通用するのか。孫ほど離れた選手たちと信頼関係を築けるのかなどの意見もありましたが、全くの杞憂に終わりました。選手だけではなく、マスコミなどを通じて私たちファンにも、次々と「野球のセオリー」を植え付けていき、白星を重ねていきました。

「投手が出した四球はエラーと同じ」「打者が選んだ四球はヒットと同じ」「無死1・2塁でゲッツーを打ってもいい」「普通に野球をやる」「ゲームの流れをよく読み、奇をてらったことをしない」「ここが勝負というところは徹底的にやる」など、枚挙にいとまがありません。

新しいことばかりに目がいき、本質というか真理というか、時間が経っても変わらない大事なことをおろそかにしてはいけないなとあらためて感じました。古かろうが新しかろうが、セオリーのようなものは変わらない。それは、長く生きている経験者の方が分かる部分が多いと思います。新しいことにキャッチアップしていくことももちろん大事ですが、セオリーも大事にしたいと思わせてくれる、阪神タイガースの日本一でありました。

 

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