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イスラエル、奇襲許した3つの隙

イスラエルイスラム武装組織ハマスとの戦闘が日に日に激しさを増しています。中東は利害が対立する国が多く、複雑に絡んでおり、なかなか理解するのが難しいです。いろんな情報を整理して、理解を深めている最中ですが、最初から私が思っていたひとつの「なぜ」が解説されていました。

どんな「なぜ」かというと、「なぜイスラエルがこうも簡単に攻撃されたのか?」ということです。イスラエルは、中東では最強の軍隊と情報機関を持っています。しかし、ハマスに不意を突かれてしまいました。

そこには3つの隙があったと記事にはあります。ひとつめの隙は「ヒズボラ対応を優先していたから」。隣国レバノンイスラム組織ヒズボラの対応に戦力を集中させていました。ヒズボラハマスよりも高い戦力を持ち、4月や7月にもイスラエルにロケット攻撃を繰り返していました。

しかし、イスラエル政府はパレスチナのガザに対して、イスラエルへの出稼ぎ許可など経済的利益を与えたことから、ハマスは大規模な軍事行動を控えていました。イスラエル側は「当面はガザは大丈夫」と思っていたのかもしれません。

2つ目の隙は「自国技術への過信」。ハマスの攻撃を察知できなかった背景には、世界有数のサイバー技術にイスラエルは自信を持っていた一方、ハマスは長年のイスラエルとの戦いから、アナログな方法で幹部間の連絡をやりとりしていたらしく、イスラエルの網にかからなかったようです。イスラエル自慢の強力防空システム「アイアンドーム」も、今回の奇襲攻撃ではわずか20分間に数千発のロケットを撃ち込まれ、迎撃漏れが相当数出たようです。

最後の3つ目は「内政の混乱」。裁判所の力を弱める司法制度改革に対する大規模なデモが国内に発生、その抑え込みにネタニヤフ政権は忙殺され、ハマスへの対応が手薄になったとの見方もあります。

これからアメリカのバイデン政権も、イスラエル支援に動いていきます。ウクライナ支援との両立、来年からは大統領選に突入など、いばらの道が待っています。まったく予断を許さない状態になってきました。

 

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