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TPPに英加盟 「次」見通せず、自由貿易の拡大難路

TPP加盟11か国は16日、ニュージーランドでの閣僚会合で英国の参加を正式承認しました。発足以来初の新規加盟国で、「環太平洋」ではない欧州の国との連携は新局面を迎えます。

英国が加盟申請した21年2月から、英国の加盟は時間の問題とされてきました。問題はこの「次」です。現在、TPPには中国・台湾・エクアドルコスタリカウルグアイ、そして5月にはウクライナも加盟申請しました。アメリカも中国もいない国際的な貿易協定の中で、日本が存在感を示せる貴重な機会で、加盟したいという国がたくさんあるということはとても喜ばしいことだと思います。

TPPは高い割合での関税撤廃、投資や電子商取引(EC)などでの自由度の高いルールが特徴となります。TPPは99%の品目で関税を段階的に廃止、工業製品では99.9%の品目で関税がなくなります。保護主義、自国ファーストの国は参加できず、データ流通の透明性確保、強制労働の禁止規定、国有企業の優遇策の縮小・撤廃なども盛り込んでいます。世界の他の自由貿易協定(FTA)にはない規定で「ゴールデンスタンダード」とも呼ばれるくらいハードルはそこそこ高めです。

そんなハードルをクリアして、自由貿易を行う国がひとつでも増えるといいなと思っていますが、問題は中国と台湾です。新規加盟は全参加国の同意が必要です。中国に対しては、加盟国それぞれに思惑があるようです。反対が強めなのは、日本とオーストラリアですが、オーストラリアはここにきて軟化の姿勢をとりつつあります。日本の後藤経済財政再生相は「威圧的な対応をする国は対象にできない」と、中国をにおわす発言をしています。

「威圧的」とはいかにも抽象的な表現です。前から書いていますが、私は中国も台湾も、今回新規加盟した英国並みの手続きを踏み、ルールさえクリアできているのであれば、中国であろうが台湾であろうが参加を拒むことはないと思います。食わず嫌いの子どものように「なんか美味しくなさそうだから嫌や」ではなく、具体的に道筋を示すべきだともいます。

 

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