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「2つのインド」に、日本しかできないこと

この「2つのインド」という考え方がとても面白いと思いました。

2つのインドとは、インドとインドネシア。インドとインドネシアのつながりは歴史的にもとても深く、インドネシアは「インドの島々」の意だそうです。インドからジャワ島にヒンドゥー教が入ってきて、王国が興亡を繰り返し、ジョグジャカルタにはプランバナン遺跡というヒンドゥー世界遺産も残っています。国際的な観光地であるバリ島はヒンドゥー教を色濃く影響を受けています。両国とも植民地支配を経て、独立後は米ソ冷戦下で「非同盟運動」を主導。そのひとつの象徴となったのが、1955年のアジア・アフリカ会議です。インドのネルーインドネシアスカルノは、リーダー的な役割を果たしました。

先の広島サミットでは両国とも参加。昨年のG20会議はインドネシアが議長、そして今年はインドが議長を務めます。アジアの民主主義国の中では、人口は1位と2位。2050年にはGDPが世界の3位と4位になると予想されています。日本は両国に抜かれるということです。

21世紀の国際政治に与える影響の大きい両国と有効な関係を持っているのが日本だと、地曳さんは書かれています。直近の両国へのODA拠出額は、ドイツを抑えて日本がトップ。外務省の世論調査でも、両国の9割以上が「日本は信頼できる国」と答えており、大変ありがたい限りです。

日本が中国抑止を念頭に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」の概念を両国とも受け入れています。インドとは米国、オーストラリアとともに「クアッド」の枠組みでも協力。インドネシアには、天皇皇后両陛下が、即位後初の国際親善目的での外交訪問に、今週末からインドネシアに行かれます。

まずは、両国との関係をさらに深めた後には、地曳さんが最後に書かれているような、日本にしかできない新たな3カ国の枠組みを主導してほしいと思います。

 

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