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サラリーマン社長は進化する

日本企業の「サラリーマン社長」へのエールのような記事でした。

日本の企業経営者はネガティブな評価にさらされることが多く、中でも創業者社長ではない、サラリーマン社長は特にその傾向が強いように思います。確かに日本の「サラリーマン社長」はプライベートジェットで世界中を飛び回ることが少なく、逆に会社のファクス番号が名刺に記されているケースが多いと、コール氏もさらっとディスっています(笑)。しかし仕事を成し遂げる能力をみてみれば、日本の経営者の実績はなかなかのものであるといいます。

なぜなら、1995年から2022年にかけて、日本の上場企業の売上高はわずか10%しか増えなかったにも関わらず、同じ期間に経常利益を11倍に増やせたからです。投資や経営の経験者なら、売上高という追い風を受けずに利益を伸ばすことがいかに困難かはよく理解できるだろうと。

同時期、米国の「スーパースターCEO」は売上高が3倍になる追い風を受けつつ、利益を6倍に増やしました。もちろんこの数字も誇るに値するが、日本のサラリーマン社長が利益を11倍に膨らませたのに比べるとパッとしません。日本の経営者が利益の追求という意味では市場の期待に応えてきたにもかかわらず、なぜサラリーマン社長の実績が株価に反映されないのか。

その答えは簡単で「設備投資と従業員の報酬にある」とコール氏は言います。1995年以降、日本の上場企業の設備投資は10%以上減少した一方、米国の上場企業の設備投資は2.5倍に増えました。さらに米国のCEOが従業員の報酬を約90%引き上げたのに対し、日本の社長は約25%引き下げてしまいました。株価は将来の企業業績に対する期待にもとづいて決まります。企業のリーダーが設備や従業員に投資しない限り、将来の業績への期待が生まれることはない。そりゃあ株価は上がらないわなと思います。

日本は過去30年、余分なコストを減らすことで利益を伸ばしたサラリーマン社長を誇りに思いつつ、これからは「投資をしてビジネスを成長させる」という新たな目標に向かう時であると締めています。バフェット氏が期待するのもこのあたりの伸びしろかもしれません。

 

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