これはなかなかインパクトのある記事だなと思いました。米アップルがゴールドマン・サックスと組み、米国で17日に預金サービスを始めたと発表しました。同国だけでも1億人を上回るiphone利用者を囲い込む考えです。
アップルのクレジットカードの利用者が対象で、当初は利回りを年4.15%に設定します。全米の貯蓄口座の平均は、金利が上がってきたとはいえ0.3%台。利回りは随時変更される可能性があるとはいうものの、年4%台とは破格です。裏側で預金業務を運営するゴールドマンが高い利息を支払いながらどう利益を確保するかが課題となりますが、米国内には3カ月物の米財務省短期証券の利回りが年率5.2%に達するなど、より高金利の金融商品もあります。個人から集めた資金をこうした商品で運用したり、法人に貸し付けたりして、安定的に利益をあげられる可能性はあるとのことで、こちらが心配しなくてもしたたかにやりそうです。
それにしても、米地銀にとっては新たな逆風となります。3月に米シリコンバレーバンクが急速な預金流出に見舞われて経営破綻した後、預金引き出しの動きは他の中堅・中小銀行に広がり、一部大手行にも波及しています。顧客をつなぎ留めるには預金金利を引き上げざるを得ず、体力勝負となり、業界再編につながるとの見方もあるくらいです。
金融はくに・地域ごとに規制が存在し、参入障壁は高いです。預金サービスは米国のみで展開するとのことですが、未来永劫そうとは限りません。iphone信者が多い日本に「黒船」はやってくるのでしょうか。