来日したフィリピンのマルコス大統領が、台湾有事の際に「フィリピンが巻き込まれないシナリオは考えにくい」となかなか際どい発言を日経新聞との単独インタビューで語っています。
台湾有事を巡ってマルコス氏は「そのような紛争が起こらないことを祈る」とした一方で、「我々は最前線にいると感じている」と語りました。首都マニラがあるルソン島北端から台湾の最南端までは約350キロメートルしか離れていません。逆に、台湾の北にあるのは日本ですが、与那国島からはわずか100キロちょっとしか離れていません。那覇までが約600キロ。首都の東京まで約2100キロ。首都のマニラはルソン島の南部なので離れているようには見えますが、改めて地図を見ると、日本列島よりは明らかに近く、「最前線にいる」という言葉も大げさではない気がします。
フィリピンと米国は軍事同盟を結んでおり、かつては南シナ海に接するスービックなどに米軍機がありましたが、1990年代初めにフィリピン上院が米軍の基地利用を延長する条約の批准を拒否し、米軍は撤退。地域での米軍の存在感低下につながり、中国に海洋進出を許し、今では南沙諸島などで軍事拠点化が進んでいます。2014年には防衛協力強化協定により米軍の巡回駐留が可能になり、共同訓練を実施。日本の自衛隊との合同訓練も強化していくとのことですが、フィリピンと中国との経済的な結びつきは強く、フィリピンとしても立ち位置が難しそうです。