「米国は最高の国であり、最悪の国でもある」と、英フィナンシャルタイムズ寄稿のこの記事は始まっています。
「最高」の方は、言うまでもなく「経済」です。一人当たり実質所得が米国よりも高い西側諸国はいくつもありますが、国の規模が大きな高所得国との比較となると、ドイツはアメリカの84%、英国は73%(2023年の一人当たり実質GDP比較)。それも、2000年と比べて低下していることから、米国の持続的な繁栄が見て取れます。デジタル経済に著しく集中しているところも大きな特徴です。
一方「最悪」の方は、正直目を覆う数字ばかりです。殺人発生率は英国の約6倍で、日本の約30倍。刑務所の収監率は、10万人当たり541人(ドイツ68人、日本33人)。白人女性の妊産婦死亡率は、10万人当たり19人(英国5.5人、ドイツ3.5人)。5歳未満児の死亡率は、1000人当たり6.3人(英国4.1人、日本2.3人)。平均寿命は79.5歳と、中国の78歳とほぼ同じで、世界48位。GDPの17%前後も医療費に費やしているのに結果は貧弱、でもGDPは大きい。
表題にもある「活気と低福祉が表裏一体」。こうした事態は、大きな不平等、個人の不適切な選択、そして異常ともいえる社会的な選択の結果だと。
私は、まだまだ世界のあちこちに行ってみたいと思っていますが、約4億丁の銃が流通している米国に行きたいとはちょっと思いません。学生時代に一度行っておいてよかったです。