今週火曜日にも取り上げた未成年者のスマホ・SNS問題。今日は、東大教授の渡辺安虎氏が考察されています。
スマホ過剰利用の長期的な影響についての質の高い研究はほとんど存在しませんでしたが、今年10月に米ウィスコンシン大と中国の経済学者らが発表した研究が注目を集めているそうです。
この研究は、スマホ利用と学業や賃金がどう影響を及ぼすかを考えるのが難しい。スマホ利用が学業に及ぼす影響を図りたいにもかかわらず、逆に学業がうまくいかないからスマホの利用時間が増えるという「逆向きの因果」が生じるからです。この逆向きの影響の可能性を取り除いて研究された結果、やはりスマホ利用が成績を低下させていたことが確認されたのですが、興味深いのが、その影響の半分以上が「友人からの間接的な効果」だというものでした。
若年層のスマホ利用は、友人関係と想像以上に強い関係にあり、成績低下は授業への遅刻や早退とも強い相関を示しています。ヘビーユーザーほど、メンタルの状態が悪く、就職の出願数が少なく、仕事に不満も持つ。大学生に週3時間のゲーム規制を実施すれば、約1%賃金が上昇するとも試算しています。
スマホは確かに便利で、調べ物などをするのに最適、息抜きにもぴったりですが、これだけならおそらく「依存」まではならない。SNSなどを使って、友人と繋がりすぎると、依存状態になり、あちこちに悪影響が出る。火曜日の時事マラソンで、この分野で様々なデータが揃いつつあると書きましたが、さらに研究が進んでいくことを期待します。