時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

預金60兆円、大都市が吸引 試練の地域金融

だいぶ前にも取り上げたことのある「相続資金争奪戦」。以前と違って今は「金利のある世界」が現実味を帯びてきていますから、余計に預ける預金者も受けての銀行も敏感に反応しそうで、とても興味深いです。

親が亡くなり、子が相続をすると、親が地方に住んでいて地方の金融機関(地銀、信金など)にお金を預けている時、子が都会に住んでいてその金融機関の支店が都会にないと、とても不便です。なので、相続の時に遺産を大都市の金融機関(都銀など)に資金移動すると、地域金融が一気に干上がってきます。

三井住友信託銀行の試算だと、今後30年間で58兆円の家計の金融資産が全国から東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)に流入するとのことです。東京圏から他地域への流入もありますが、それを差し引いても東京圏の純増額は38兆円に上るそうです。これはすごい金額です。

奈良や秋田、愛媛など17県では家計の金融資産の3割以上が県外に流出する可能性があり、直近23年11月時点で全国11地区の内東北や北陸、中国、南九州など6地区の預金残高がすでにマイナスになっている模様です。JAバンクはすでにマイナスに転じており、23年5月に前年割れとなり、24年2月までの10カ月間のうち9カ月は前年実績を下回ったとのこと。

先の三井住友信託の青木美香主任調査役は「東京圏の吸収力はブラックホール並みで、家計の金融資産の集中は一段と進む」とみます。

 

www.nikkei.com