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大手損保の談合体質は許されない

企業向けの損害保険をめぐり、損害保険会社によるカルテル(談合)の疑いが浮上しています。

保険料の水準を損保各社が水面下で相談していた疑いは、私鉄グループの東急向けで6月に発覚しました。仙台国際空港石油元売り大手向けでも同様の行為が疑われ、価格調整が横行していた可能性があります。公正取引委員会は8月に入って独占禁止法違反の疑いで大手4社の任意調査を開始。東京海上日動火災保険三井住友海上火災保険損害保険ジャパンあいおいニッセイ同和損害保険が対象になっています。4社に報告徴求命令を出した金融庁と連携し、厳しく対処すべきだと今朝の日経の社説にはあります。

自然災害の頻発で損保の経営環境は厳しく、収益改善のプレッシャーがかかりやすいとしても不正の言い訳にはならないともありますが、わざわざ書くまでもなく当然のことです。

保険会社には3つの利益源(三利源)があります。ひとつ目が運用によって発生する利差益。ふたつ目が事業費を節約して発生する費差益。3つ目が死差益。実際の死亡率より少なかった場合に発生する死差益。損保会社の場合は、事故の損害額が少なかった場合に発生する危険差益です。この3つがマイナスにならないように保険料の水準を決めているわけですから、極めて赤字になりにくい事業モデルです。これに加えて談合までやっているとなれば、もう開いた口がふさがりません。もはや公平な競争は望めないし、これって民間企業の姿なの?とも思ってしまいます。

ビッグモーターの保険金不正請求に絡む損保ジャパンなどの問題も、完全に氷山の一角です。こういう業界って自浄作用は働くのでしょうか…。

 

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