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相続財産、投資に回す秘策あり

マネックスグループ・グローバルアンバサダーのイェスパー・コール氏が「相続税を投資に振り向ける仕組みを構築してはどうか」と、とても興味深い提言をされています。

日本が貧しくなったと言われて久しいですが、基本的なマクロ経済の現実として、日本は過去31年間も長きにわたって、世界最大の債権国であり続けています。債務国ではなく債権国です。稼ぐ力はかなり落ちたけど、蓄えは十分あるということです。日本の対外純資産の総額は2021年末で411兆円、世界第2位のドイツの1.3倍です。人口が10倍以上いる中国をも総額で引き離しています。

家計部門を例にとると、金融資産は1994年の1200兆円から、2022年は2000兆円に増えました。この金融資産の内、70歳以上の保有比率が50%に達すると推定されているのは驚きです。いい方は悪いですが、この方たちはどんどん亡くなっていくので、今後10~15年で400~700兆円が世に出てきます。このお金を、国債の償還だけに使われるのではなく、日本の将来への投資に使えたらどうかというのがイェスパーさんの考えです。

基本的な考え方は相続を受けた人は誰でも、新しい公共インフラに投資する選択肢を得るというものです。例えば、1000万円を相続したら、認可されたプロジェクトに300万円を投資したら、相続税の課税対象額が700万円に下がる。下がると、相続税の節税になります。

1000万円をそのまま相続したら、相続税を55%として、手取りは450万円。700万円の場合は、315万円。手取りは減りますが、経済的に余裕のある人は、よりよい日本をつくるために投資をする、ふるさと納税みたいに返礼品はないけど、将来のために貢献できる。遺言のような形で「ちょっと手取りは減るけど、このプロジェクトに使ってほしい」と相続人に伝えることもできそうです。

記事にもある通り、スキームの対象となる事業は、政府によって慎重に審査されないといけませんが、課題は山ほどある日本なので、投資プロジェクトは山ほどあります。

これなら「新しい資本主義」と言えます。

 

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