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勝者なき台湾総統選、3陣営が「謝罪」 支持者も複雑

台湾総統選で対中強硬派の与党候補、頼清徳氏が当選しました。

炭鉱労働者の家庭に生まれ、母子家庭で育ち、1990年代半ばに中国軍が台湾周辺の海域にミサイルを撃ち込んで威嚇してきた台湾海峡危機を機に医師を辞めて政治家を目指したという頼氏。台湾の総統になったからには、一方的な「押し」だけでなく「引き」も織り交ぜていくでしょうが、中国への対抗意識は筋金入りです。神戸生まれで母が米国人、流暢な英語を駆使し、駐米代表をつとめた蕭美琴副総統とタッグを組み、アメリカとうまく連携をとっていってほしいです。

ただ、頼新総統の船出はなかなか厳しそうです。得票率が約40%と、これまでの20年で「最弱」の新総統と言われ、2・3位候補が一緒にならなかったことが最大の勝因でした。同日に行われた日本の国会にあたる立法院選挙は、過半数を割り込んだだけでなく、国民党に1議席及ばず第2党に転落。過半数だけならまだしも、第2党とは思いませんでした。ここまで政権を担っていた民進党に一定の不満があることは確実で、「総統選は民進党に、立法院はそれ以外に」とバランスをとった有権者が多くいたのでしょう。まあ、逆よりはよかったかなと思います。立法院をとっても、総統の椅子を失うよりはマシですから…。

頼氏の総統当選は何としても阻止したかった中国でしょうが、果たしてこれからどうでてくるのでしょうか。アメとムチをさらにバージョンアップさせていくでしょう。

 

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