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インド出身の亀田製菓CEOがまく「夢の種」

世界で活躍するインド出身のCEO。グーグルのサンダー・ピチャイさん、マイクロソフトのサティア・ナデラさんなど、アメリカのIT企業が有名ですが、「柿の種」や「ハッピーターン」で有名な亀田製菓のCEOがインド出身の方とは知りませんでした。お名前は、ジュネジャ・レカ・ラジュさん、71歳。

40年前(1984年)に、大学で微生物学を研究するために大阪大学の研究員として家族と来日。1989年に太陽化学入社、2003年に副社長に。2014年にロート製薬の副社長を経て、2020年に亀田製菓の副社長に、2022年6月にCEOになりました。

ジュネジャさんが日本を留学先に選んだのは「日本が世界一になる」という先輩の言葉がきっかけだったそうです。当時、時価総額の世界トップ10には多くの日本企業が名を連ねていました。「日本人は戦争で全てをなくし、一生懸命に働いて、世界一になる夢物語の中にいた」と振り返ります。私生活は多くの困難に直面しました。言葉や教育の壁にもぶつかり、2人の子供は当初、地元の公立学校に通わせたが、「顔はインド人で日本語しか話せないと将来の選択肢が限られる」と、途中からカナダに留学させたそうです。

ジュネジャさんは、今の日本をどう思っているか。「米国にはアメリカンドリームがある。日本にそこまでの夢を描く魅力があるだろうか」と厳しい言葉を突き付けます。40年日本で暮らすジュネジャさんの言葉は重いです。「安心、安全で清潔。何を食べてもおいしい」。取材中、日本を何度も褒めるジュネジャさん。しかし、働く場所としての評価を尋ねると表情が曇ります。夢を描きにくいのは「日本の人事制度などに外国人に適さないルールが多いから」と語ります。

「日本は自分たちのポテンシャルを一番わかっていない」とも言います。ジュネジャさんの言葉は金言だらけです。

 

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