時事マラソン

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インド、あくまで「我が道」

この時事マラソンでも再三取り上げている、躍進中のインド。中国を抜き、世界最大の人口を抱える国になり、今年のG20議長国だなんて絶妙のタイミング。9月には各国の首脳がこぞって来印することでしょう。

中国の政治スタンスは、アメリカを中心にした西側と距離をとりながら、ロシアとは友好を保っています。しかし、そのロシアからの武器の部品供給が滞り始めているようで、戦車の部品などは1年弱、供給が遅れ気味だそうです。兵器は厳しい環境で酷使するため、故障した部品をひんぱんに取り換えなければなりません。更新できないと、軍の運用に大きな支障が生じてしまう。防衛体制が揺らぐと、中印国境やインド洋で中国軍がより強気になり、緊張が高まる恐れがあります。米印外交筋によると、アメリカがインド軍への直接支援をひそかに検討したこともあったといいます。

さらには、インドは軍の近代化を進めようと、日本にも期待を寄せています。7月28〜29日、ニューデリーで両国外相や高官、識者らが集まり、経済や安全保障問題を話し合う「日印フォーラム」が開かれました。

だからと言って、インドが全面的に米欧日に接近し、どんどん距離を縮めていくかというとそれはないと、秋田裕之氏はいいます。インドから見ると、米欧日と近づくことは国益にかなわないと。

1つ目の理由は、インドは英国に植民地化された経験からくるもの。自力での防衛体制が国策であり、植民地時代の欧州への不満も根強く残ります。2つ目は、自主独立を重視するために、他国に手足を縛られるのを嫌います。これは日本が反面教師になっているかもです。最後に3つ目は、中国を極端に刺激はしたくないということです。

インドはインドなりに、難しいかじ取りを迫られています。

 

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