ウクライナが、NATO加盟だけではなく、EUの加盟も求めています。そういえば、TTPへの加盟も意思表示をしています。
EUもNATOも、新しい加盟を迎えるには全会一致が必要です。3分の2でも過半数でもなく、全加盟国の承認が必要とはなかなか厳しいです。スウェーデンのNATO加盟申請の例からもわかる通り、全加盟国の支持を得るプロセスは必ずしも順調にいきません。その代わり、決まったことは足並み揃えて動くわけですから、このまとまりは一定のパワーを持ちますし、相手に与えます。
しかもEUは、申請から承認までのスパンが10年以上。クリアしないといけない項目が山のようにあるからです。ととえば、トルコの申請は何と1987年。もうすぐ40年が経とうとしています。加盟交渉開始が2005年。20年近く経っても、クリアしている項目は数えるほどと言われています。正直「もう入れてあげたら??」と言いたくなるレベルです(笑)
そんなEUにウクライナは入りたいと思っている。しかし、難題は他にもあります。「順番待ちの列が長い」ということです。
すでに、アルバニア、モルドバ、モンテネグロ、北マケドニア、セルビアの少なくとも5か国が加盟プロセスを正式に開始しています。トルコは、正式に加盟候補国の承認を受けている6番目の国。その次に、ボスニアヘルツェゴビナ、ジョージア、コソボが順番待ちをしていて、その次がウクライナ、となるようです。現在のEU「クラブ」は27か国ですが、33か国、最大では37か国まで拡大する可能性があります。37か国とはすごい規模です。
ウクライナの「順番抜かし」は認められません。ウクライナのために、今順番待ちをしている10か国、その中に少々癖のあるトルコも含められますが、「みなさん、おそろいでどうぞ」と加盟を許すか。それも現実的ではありません。記事の最後に書いていますが、ウクライナをはじめとする加盟候補国には、正式に加盟する前からEUの財源への一定程度のアクセス権や政策決定での発言権を与えるなどの便宜が図られるべきだという考えは、妥協案としてはいいと思います。