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全面衝突、偶発リスク ポーランド着弾、NATOで初の死者

北大西洋条約機構NATO)加盟国のポーランド領内に15日にミサイルが着弾し2人が死亡した事件は、ウクライナでの戦闘が偶発的に全面戦争の引き金となるリスクを浮き彫りにしました。今回はロシアによるポーランドへの直接的な攻撃の可能性は低く、米政府はウクライナ側の迎撃ミサイルが誤って国境を越えてポーランドに着弾したとの見方を強めており、バイデン米大統領は16日、記者団に「軌道を考慮すると、ロシアから発射された可能性は低い」とも語っています。直ちに全面戦争へという最悪のシナリオは避けられましたが、ロシアの関与があったとすれば、NATO集団的自衛権が発動される可能性も否定できない事態だった、と記事にはあります。


米欧が着弾直後の段階からロシアの関与に言及しなかったのは、ロシアとNATOとの全面戦争にエスカレートする可能性があったからです。NATOの第5条に、締約国への武力攻撃を全締約国への攻撃とみなすとあるからです。ロシアの関与が断定されればNATOはロシアへの武力行使ができるようになります。


「ロシアの関与」がポイントとも思えますが、ウクライナの迎撃ミサイルが原因だったとしても、迎撃ミサイルはロシアからのミサイル攻撃があってこその迎撃なので、ロシアの関与がないとは言い難いと思います。それに昨日も触れましたが、ポーランド側の気持ちを考えるとこれでロシアに対して何にもなしでは納得がいかないと思います。何のためのNATOだろう。リスクも負って加盟しているけど、相手が弱かったら戦いそうだけど、ロシアのように核を持っていたらどうしても及び腰になる。


ウクライナNATO非加盟国なので致し方ない部分はありますが、ゼレンスキー大統領のNATOへのさらなる支援を求める姿は十分理解できます。一方、ポーランドNATO加盟国です。これから、NATOに加わろうとしているフィンランドスウェーデンもどう考えているのか。両国とも実質の対象国はロシア1国です。NATO加盟国それぞれの思い、しいては集団的自衛権の難しさを実感しています。

 

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