時事マラソン

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「サル発言」で考える野党の姿

立憲民主党・小西議員の「サル発言」。時事マラソンで取り上げるに値しないニュースだと思って避けてきましたが、日経日曜日の「風見鶏」に興味深い考察が書かれていました。

個人的には、衆院憲法審査会の毎週開催を「サルがやること」と発言したことよりも、自らの発言を報じた放送局などに対し、放送行政を所管する総務官僚だった自らの経歴を示して「元放送政策課課長補佐にけんかを売るとはいい度胸だ」とツイッターに投稿したことの方が目を引きました。この「課長補佐」にどれだけの威厳があるかは知りませんが、こういう「恫喝」というにはあまりにトホホなアプローチに怒りを通り越して、笑ってしまいました。

今回の風見鶏の指摘はそこではなく、立憲民主党が11日に小西氏への対応を記した文章についてです。なんとそこには政治家への処分と称賛、両方が並ぶ異例のペーパーを公表したからです。問題は処分の方ではなく、称賛の方。「放送法の解釈変更を巡る問題などに取り組み、参院予算委員会などで議論を深めることに大きく寄与した」とありさらに、党幹部によると原案には「今後ともあらゆる議員活動に積極的に取り組むことを期待する」という文言まであったそうです。

小西氏への擁護派議員には、国会での政権追及で急先鋒に立つ顔ぶれが目立つそうです。小西氏は放送法解釈の問題で政権を厳しく批判。安倍政権時代の首相補佐官放送法の追加解釈を働きかけていたと明らかにし、予算審議で注目されました。追及型議員としては小西氏を守りたくなる気持ちはわからないではありません。

国会論戦は「批判か提案か」。立民は「提案型野党」を掲げて臨んだ2022年参院選に敗れました。小西氏の発言は対決路線への回帰がみえるなかでの出来事だったと記事にはあります。

記事の一番最後に「会社が役員の処分を発表するときに擁護の文言を入れることは考えられない」と指摘する企業経営者の違和感が書かれています。力のある与党に対峙する野党第一党としてはなかなかに悩ましい問題です。

 

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