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首相がLGBT関係者と面会、法整備へサミット前に強まる圧力

岸田首相は17日午後に、LGBTなど性的少数者の支援団体の関係者と官邸で面会しました。元首相秘書官の荒井氏による差別発言に関し、「極めて不適切なものであり、不快な思いをさせたことに対し心からおわびを申し上げたい」と陳謝しました。しかし、岸田首相は1日、国会で「すべての国民にとっても家族観や価値観やそして社会が変わってしまう、こうした課題であります」とも発言しています。

面会した、プライドハウス東京の松中代表は、自身もゲイであることを公表しており、この発言に「心臓が止まるほどショックを受けた」といいます。岸田首相の発言の真意を知ることができたのかは分かりませんが、法的整備に向けて風向きが変わってきているのは事実です。

特に3か月後に迫っているG7広島サミットを前に、荒井氏だけでなく岸田首相の「後ろ向き」ともとれる姿勢が、日本の対応の遅れを際立たせています。昨年ドイツで行われたG7エルマウ・サミットで、岸田首相も署名した首脳コミュニケは「性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることを確保する」ことへの関与を再確認しています。

ところが、日本はG7で唯一、同性婚を認めないばかりでなく、性的少数者への差別を禁止する法律もありません。超党派の議員は2021年にLGBT理解増進法案をまとめたが、「差別は許されない」との記述に自民党内から異論が出て国会提出に至っていません。自民党内で異議を唱えている人たちは「差別は許される」と考えているのでしょうか。

保守層に配慮する自民党内の調整が首相にとっての優先課題の一つとなっています。準地元でのサミット開催に力が入る岸田首相にとって、懸念材料はひとつでも払拭しておきたいところでしょう。

 

news.yahoo.co.jp