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ニュージーランド首相辞意、与党支持低迷 、産休に評価も

ニュージーランド(NZ)のアーダーン首相が19日、2/7までに辞任すると表明しました。「もう1年だけでなく、もう1期(首相を務めるため)の準備をする方法を見つけようとしたが、できなかった」。19日の記者会見でアーダーン氏は時折涙ぐみながらこう述べました。唐突な感じがしましたが、今交替して新しい党首にしないと10月に控える総選挙を労働党として戦えない、ギリギリのタイミングだったのでしょう。


アーダーン氏の知名度は世界的に高く、フィンランドのマリン首相らと並んで、世界を代表する女性リーダーのひとりでした。2017年10月に37歳の若さで首相の座に上り詰め、18年には長女を出産するために産休を取ったことは世界を驚かせました。男女平等を示す事例として世界の注目を集め、同年の国連総会には生後3か月の娘を連れて入場しました。20年に広がったコロナ後は、素早く出入国や外出に厳格な規制を導入し、SNSなどを使って国民に語り掛けて協力を求める姿は日本でもニュースになりました。20年6月には、他の先進国に先駆けて国内の規制を解除、「賢い政府」を率いる政治指導者として世界で名声が高まり、羨ましく見ていました。


在任中に大きな困難は確かにありました。クライストチャーチのモスクで白人至上主義の男の銃乱射事件が起こったり、観光地のホワイト島での火山噴火で死者・行方不明者が出たり、21年8月以降のデルタ型の流行拡大の政策がうまくいかなかったりと、いろいろありましたが、NZが相対的に混乱した印象はありません。もっとドタバタした国はたくさんあります。インフレによる景気後退懸念こそ、世界的な課題です。


ここまで頑張ってこられたアーダーン氏の決断は尊重しないといけませんが、優秀なリーダーが退くということは同国にとってマイナスも大きいです。年齢もお若いですから、しばらくはリフレッシュをして、コロナで延期になっている自身の結婚式をあげて、パートナーとゆっくり子育てなども楽しんで、また表舞台に戻ってきてほしいと思います。

 

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