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度胸で越えた「タレント枠」扇千景氏死去

昨日は、訃報が多い1日でした。ノーベル賞作家の大江健三郎氏、イトーヨーカドー創業者の伊藤雅俊氏など著名人がお亡くなりになりました。その2人に比べると、新聞などでの扱いは小さいですが、女性初の参院議長を務めた扇千景氏も亡くなりました。89歳でした。

今でこそタレント女性議員は数多くいますが、私の記憶でも一番最初はこの人だったと思います。タレント議員の多くは選挙のときしか出番がない。担いだ政党が期待するのは知名度だけ。有権者に飽きられて集票力を失ったら、ご用済みというのがふつうですが、扇千景氏は違いました。派閥の分裂、離党と復党といった永田町の荒波を巧みに泳ぎ渡り、閣僚としても存在感を示しました。宝塚歌劇団のお姫さまが三権の長である参院議長に就くとは、1977年の初当選時には誰も想像もしていなかったと、この記事にはあります。

昭和から平成の時代に、初代国土交通相から2004年には参院議長まで、よくたどり着いたと思います。ただの「客寄せパンダ」ではないことがこの実績だけで分かります。「口の軽い政治の素人」から政界のトップのひとりにまで上り詰めたのは「度胸」だと日経編集委員の大石氏は書きます。

政界入り前も、度胸のよさを示すエピソードには事欠きません。テレビの格が映画よりも低かった時代にどんどん出演し、さらにワイドショーの司会に転身しました。女優も司会も政治家も発信力が問われる仕事。たどり着くべくして天職にたどり着いた人生だったと。

ご冥福をお祈りします。

 

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