時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

国産ジェット、迷走の末撤退 三菱重工の開発費1兆円に

三菱重工業が、国産ジェット旅客機事業から撤退すると昨日発表しました。

2008年の事業化決定から約15年。6度も開発期限を延期し、当初1500億円としていた開発費は最終的には1兆円規模に膨らみました。サンクコストとするにはあまりに巨額です。同社はボーイング向けの航空部品などを手掛けますが、完成機の組み立てと部品製造は別物で経験やノウハウ不足が露呈しました。それでも15年経っても得れない経験やノウハウって何なんだろうと思ってしまいます。

その最たるものが同社の参入を最終的に阻む形になった型式証明(TC)の取得です。米欧が決めてきた航空分野のルールの下、証明取得の手続きは難航を極めました。当初の見積もりは甘く、経験豊富な技術者を早期に外部登用していれば状況が変わった可能性があると。8人乗りと90人乗りの違いはあるとはいえ、小型ジェット機で成功したホンダとは明暗が分かれました。ホンダは開発ではリーダーを変えず一貫して取り組んだ一方、三菱重工は開発子会社社長を何度も交代させ、海外技術者を招くことでかえって迷走を深める結果となりました。開発子会社の社長も三菱重工本体からどれだけの権限と自由度を与えられて、この一大事業に取り組んだのか、そのあたりも知りたいところです。

回顧録とかが出ればぜひ読んでみたいです。

 

www.nikkei.com