時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

「サッカーの王様」ペレ氏死去

「サッカーの王様」として知られるブラジル代表の元エース、ペレ氏が29日に亡くなりました。82歳でした。

 

先日のサッカーW杯カタール大会では、ブラジル代表の試合の時に選手やサポーターたちがペレ氏の回復を願う横断幕を掲げていたのを目にしました。ペレ氏はW杯の決勝の結果を受けて「アルゼンチン、おめでとう。きっと今、ディエゴ(・マラドーナ氏)は笑っている」と書き込むなど、病床からもたびたびインスタグラムにメッセージを寄せていたそうです。


残念ながら、ブラジル代表優勝のニュースをペレ氏に届けることはできませんでした。日本に勝ったクロアチアとの準々決勝。延長戦で現エースのネイマールのゴールで勝ち越したのに、同点に追いつかれ、PK戦で負けるなんて、どう考えてもブラジルが勝ちそうな流れだったのに、サッカーは本当に筋書きのないドラマです。


ペレ氏はW杯に4度出場し、世界中でただ1人、選手として3度の優勝に加わりました。20年以上の現役生活で、1283得点を決め、ボクシングのムハマド・アリらと並び、20世紀最高のスポーツ選手の1人と数えられるのに、議論の余地はないと思います。


ペレ氏の現役時代のプレーをライブで見たことはありませんが、個人的に印象深いのは『勝利への脱出』という1981年公開のアメリカ映画です。第二次世界大戦の最中、ドイツの捕虜となっていた連合軍兵士とドイツ代表との間で行われることになったサッカーの国際試合と、その背後で進められる脱走計画をテーマにしており、主人公は若き日のシルベスタ・スタローン。彼が捕虜チームのGKを務め、なんとペレが同じチームの10番を背負って出演(出場)しています。ペレのプレーぶりは映画とはいえ強烈で、最後の最後に飛び切りのスーパープレーを見せてくれます。


マラドーナも亡くなり、ペレも亡くなり、サッカーの一時代を築いた選手が次々にこの世を去ると、何か火が消えたような気になります。年末最後の時事マラソンに取り上げるのはどうかなとも思いましたが、他ならぬ「キング」の死を取り上げないわけにはいきませんでした。

 

www.nikkei.com