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W杯観戦を含む長期外遊、リベリア大統領が批判の的に

サッカーW杯カタール大会では、昔の有名選手の息子の多くが選手としてプレーしているのを目にしました。過去の大会よりかなり多かったなという印象です。その中のひとりに、米国のティモシー・ウェア選手がいます。そのウェア選手が、ウェールズ戦で見事ゴールを決め、スタンドで見ていたお父さんが喜ぶ姿が見られました。


息子の雄姿を見て喜ぶ父の姿はほほえましいものですが、このお父さんが大統領になるとちょっと趣が変わってきます。父のジョージ・ウェア氏は、イタリアのACミランなどで活躍し、アフリカ選手として初の、そして今のところ唯一の年間最優秀選手「バロンドール」受賞者です。そして、2018年に西アフリカの最貧国のひとつである母国のリベリアの大統領を務めています。


そのウェア大統領が、カタール訪問を含めた、何と7週間に及ぶ長期間の外遊に、リベリア国内で批判が高まっているようです。大統領側は国益のためと強調していますが、23年の大統領選で野党連合から対抗馬として出馬予定のカミングス氏は、「これほど長く自国を離れている政治指導者は世界中どこを探してもいない」と話しています。ウェア大統領にっとって、大統領職は「人生を楽しみたいウェア氏にとっては気晴らしみたいなもの」との見方をされることも多いと、記事にはあります。


世界銀行によると、リベリア経済は21年に5%成長したが、22年は世界的な先行きの不透明感や1次産品価格ショックのため、成長は鈍化しているといいます。同国のGDPは34億9000万ドルと経済規模は小さく、農産物の輸出に頼っています。リベリアのインフレ率は6.9%で、他の西アフリカ諸国よりははるかに良い状況ですが、貧困は改善していません。多くの国民が教育や医療サービスを受けることができず、社会的には世界でも最悪の状態に置かれているとのこと。


野党連合は別にして、国民が不満を持つのは理解できます。息子がリベリア代表だったらまだしも、他国の代表選手として出場していますし、批判の的になるのは致し方ないと思います。

 

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