時事マラソン

世の中の動きに対するアンテナを高く保つ

建前と偽善の米国左派、裏庭には原発・風力拒絶

バイデン米大統領が推進する地球温暖化への取り組みに、国内の左派がことごとく抵抗しています。8月にクリーンエネルギー推進策を盛り込んだインフレ抑制法が大きく報道されましたが、12月上旬にお蔵入りとなりました。この結果、2020年代末までに温暖化ガス排出量を実質50%削減するというバイデン氏の目標は事実上、達成不可能となりました。


米国の左派が、地球温暖化は人類の「存亡にかかわる最大の脅威」だと主張していることは正しい。しかし、温暖化ガスの排出実質ゼロを米国が達成するには、原子力発電を拡大しなければならないことは疑問の余地がなく、風力と太陽光を増やすだけでは実現できません。だけど、左派の人たちは、実利に繋がる行動より、道徳的に正しいかどうかを優先する傾向があると、記事にはあります。


地球温暖化は人類の存亡の危機だけど、「原発メルトダウンへの行き過ぎた不安は除く」や「我々の不動産の価値を害するなら、その限りではない」といったただし書きが前提条件として加わり、結局は実現しません。左派の偽善は「NIMBY」という言葉に表れています。ニンビーとは「Not in my back yard(うちの裏には勘弁)」の略です。総論は賛成だけど、自分の裏庭にある不動産には原発も風力もお断り、ということです。
もうひとつおもしろいワードが紹介されています。このような問題を「バナナ」と称しています。バナナ、「Build Absolutely Nothing Anywhere Near Anything(どんなものの近くにも一切、絶対に何も建てない)」の略です。左派と共和党は、米国の脱炭素の行く手にバナナの皮をまき散らしていると、なかなか辛辣です。


実利と道徳、どちらも大事ですが、あんまり偏るとこういうことになってしまいます。

 

www.nikkei.com