近年、日本発の「自己啓発書」が世界中で翻訳されているそうです。
その横綱が『嫌われる勇気』。オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーの心理学を解説したこの本は、今年6月時点で世界累計1180万部に上ります。1000万部を超えるとは衝撃です。
私も大好きな1冊、というか、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』はセットで1つと思っていますが、過去読んだ本の中のベスト10には入れたい1冊です。共著者の岸見一郎さんの講演を聞きに、京都まで行ったこともあります。予想通り、素晴らしい方でした。
原著刊行当時、アドラーは日本で一般にほぼほぼ無名でした。心理学の本というと難しい感じがしますが、この本は、対人関係に悩む「青年」が「哲人」と対話する形式でアドラーの理論を解説しています。本当に会話をしています。過去や未来より「現在」を重視し「人生はトラウマなど過去の経験で決まるのではない」との論旨は、著名なフロイトやユングの心理学と対照的な内容で、まさに「ありそうでなかった本」として受容されました。
子育てにも実践できる内容が豊富で、特に「子どもを褒めない」は衝撃でした。すぐにも「それはない!」と言ってしまいそうですが、褒める行為には上下関係がある。親が上で、子どもが下だから褒める。子どもは褒められたいと、承認欲求を刺激してしまう。褒めるのではなく「感謝」の気持ちを伝えようと。子ども(以外もそうですが)とは、対等な関係でいよう。言わずもがな、「怒る」行為もまさに上から。丁寧に言い聞かせることは必要だけど、威圧する必要は全くないと。
正直、なかなかその通りにはできませんが(苦笑)、少なくとも対等な関係でいたいなとは心がけています。
嫌われる勇気は、日本書の翻訳が盛んなアジアだけでなく、ドイツで67万部、アメリカでも35万部と、欧米でも売れています。共著者の古賀氏は、ブラジルでも33万部刊行されたことに注目されています。明るい国民性のイメージがあるブラジルですが、人々の悩みは同じなんだと。
久しぶりに読み返してみようと思いました。
今晩から、1週間インドネシアに行ってきます。通常の時事マラソンはお休みにします。できれば、現地レポートをしたいと思っています。