インドネシアのプラボウォ大統領は9日、中国の北京を訪問し、習主席と首脳会談後の共同声明で、「主張が重複する領域」での共同開発の検討で合意しました。主張が重複する領域とは、両国が資源開発で対立してきた南シナ海のナトゥナ諸島周辺を指すといわれています。
中国は、南シナ海のほぼ全域に管轄権を持つと主張し、その海域の境界線として独自に「九段線」を設定しています。ナトゥナ諸島自体は九段線の外にありますが、同島周辺のインドネシアのEEZが九段線と重複しています。
自国の目の前の海ならまだしも、同じ南シナ海だからと言って、ずいぶんと南まで出張ってくるとは、さすが中国ですが、当然フィリピンやベトナムとも領有権で対立しています。
九段線を巡っては、フィリピンがオランダのハーグ仲裁裁判所に提訴し、2016年に国際法上の根拠がないと認定されています。インドネシア政府も中国の九段線の主張を認めず、「中国との交渉の余地はない」との姿勢をとってきた中での、今回の共同開発での合意。これなら、九段線を容認したと思われてもしょうがありません。ASEAN諸国の結束の乱れにもつながりかねません。