国連やG7などの多国間外交の場で受刑者の再犯防止や社会復帰の問題が注目されているそうです。
再犯防止策に関心が高まるのは、アメリカなど各国で再犯率の高い薬物犯罪が問題になっているからです。薬物を生産したり仲介したりする供給側の解体ももちろん重要ですが、それだけでなく使用する需要者側を減らす取り組みが欠かせないとの問題意識があります。
犯罪者の対応を巡っては、厳罰による犯罪防止を目指す多くの新興国もあれば、寛容な政策で受刑者の更生を重視する北欧などの欧州諸国があり、対応に隔たりは大きいです。日本はその中間に位置しますが、日本には罪を犯した人の立ち直りを支える保護司など、独自の対策を続けてきた歴史があります。この日本の「保護司」に注目が集まっているというから驚きです。西欧では教会を中心にしたコミュニティが更生機能も担ってきましたが、それらは弱体化してきており、日本の取り組みへ関心が高まっています。
国連は17日に、ウィーンで開いた国連犯罪防止刑事司法委員会で再犯防止対策の国連準則を来年2025年までに採択することを目指すと決めました。準則は国連加盟国の再犯防止対策の基本指針や基準を定める内容です。イタリアのベニスで9~10日に開かれたG7司法相会合でも、各国の司法制度について学びあって改善を目指す「ベニス司法グループ」の創設が決定しました。
日本政府が15日にウィーンで開いた保護司制度を紹介する会合には、欧州や東南アジア諸国など25か国もの代表者が集まりました。国連の指針作りには日本のこれまでの再犯防止の取り組みを盛り込むことを探っており、議論も主導していきたいようです。
これからもウォッチしていこうと思います。